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スレッドNo.628

明月  荻座利守

淡い雲間に浮かぶ
明月よ

お前の白い円相は
いにしえより
この地に住む数多の人々に
愛でられてきたが

私の眼には
お前の白さは
孤独の光のように
映ってしまう

それは
私の心の奥底に
長い月日を経て
万年雪のように積層した
孤独が潜んでいるからなのか

それとも
遥かな太古に
強大な力により
煮えたぎるこの地から
引き剥がされたという
お前の出自を聞いたからか

漆黒の空に浮かぶ
明月よ

冷たい虚空を廻り続ける
お前の光と存在は
時に生命の誕生を促す
躍動への賛歌となり
時に深い悲しみを癒す
慰めの灯となる

されどお前は
僅かずつながらも
この地より遠ざかりつつあり
いずれ己に訪れるであろう
終焉への宿命を
その白い光を以て
顕しているのか

孤高に地を見下ろす
明月よ

せめて
お前を見上げる今宵は
内より滲むが如き
私の朧な寂寥に
静かに寄り添っていてほしい

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