あのひと トキ・ケッコウ
 文句ばかりいう
 そのくせ「しあわせ」が
 口癖だった
 手や足はもちろん
 想像なんかでは登れないところから
 落ちるように去っていった
 あのひと
 今度はどこから
 あらわれるつもりでしょう
 ああだとかこうだとか
 命令が腐敗して友情になった
 それくらいなまあたたかい吹き溜まりで
 どこかの目立たないでっぱりにひっかかってしまった
 あのひと
 今度は誰に
 助けてもらうつもりでしょう
 もういいんじゃないですか?
 そんなにがむしゃらにならなくて
 それよりあのひとを
 わたしに預けて出かけませんか
 もちろんお代は要りませんし
 いつだってあのひとはお返しします
 ええまじめにふざけてます
 ええ最高に冷静です
 余計なお世話かもわかりません
 でもわたしはあきらめません
 だってあのひとと
 どこまでいっしょにいられますか?
 そもそもあのひとがあなたのわからずやを
 いつまでひとりにしてくれますか?