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スレッドNo.6302

点火のとき  光山登



底なし沼のような公園の砂浜の上で泣きながら座り込んでいた。

僕は今、
人生の砂漠に焼け焦がれされて、
皮膚がじゅくじゅくとただれはじめていた。
僕に課せられた業火の重荷を感じていた。


もう来なくていい、
鬼火のような閻魔の一言が、
永遠に消えないロウソクの火のように、
僕の脳内で燻り続けていた。

僕はほんとうに存在するのか、
僕の見ているものは本当に他の人と同じなのか。

物思いを火花のような歓声が打ち破った。
黒点のような人だかりができていた。

青年がギターを片手に、
燃え盛るように熱唱していた。
熱気が広がり、歓声は花火大会のように大きくなった。


僕は生まれてはじめて真の意味で生きている人を見た。
記憶が火炎放射器の放つ炎のように溢れてきた。

仲間とバンドを組んでいたこと、
ロックスターを夢見ていたこと、
夢を諦めて就職したこと。

僕は聖火リレーのランナーのようなダッシュで部屋に引き返すと、
押し入れにしまっていたあざやかな赤いギターを取り出した。

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