カメレオン 喜太郎
僕は不器用なカメレオン
指示されるがまま周りに合わせようと
いろんな色を試すけれど
どうしても浮いてしまう
言われるがまま周りに合わせようと
似たような言葉を選んで
知ったような話をするけれど
どうしても話が噛み合わない
そこに本心はなくて
そこに思いもなくて
そこに願いもなくて
想いのままの言葉を色を出したいと願った
そして普通にありのままでと
自分の考えを自分の身体で表すと
あっという間に捕食者の獲物になってしまった
鋭い爪が身体に食い込み
僕の身体は青く染まってゆく
これが僕の想いの色だったんだと気づく
そのまま何処かに連れ去られてしまい
そこには色とりどりのカメレオンがたくさんいて
僕は群れの中に投げ落とされた
馬鹿な奴らだと大空を飛び交う僅かな捕食者達が
笑う様に小さな円を描く
それでも願う 想う 行動する
でもやがて多色のカメレオンの数は増えてゆき
それぞれの身体が擦り寄るたびに混ざり合い
色とりどりの身体を表してゆく
やがて様々な色の波が大地を揺るがしてゆく
やがて捕食者の留まる木々などは流されて
ひたすらに飛び続け やがて波に飲まれるだろう
そして捕食者は周りの色に合わせて
言葉を選び態度を選び自分を偽る
ありのままの色で歩き続けたいと願う流れは
多数派となり何もかもを流れに飲み込んでゆく
やがてその中に新しい色を表すカメレオンが現れる
波から逃れ何色に輝くのだろう