評ですね。 9月26日〜29日ご投稿分 雨音
「囁きの果実」ゆづはさん
ゆづはさん、こんばんは。ようやく少しだけ涼しくなりましたね。
シャインマスカットって本当に美味しくて宝石のようです。そんな瑞々しい粒から生まれた素敵なストーリーですね。最終連がとても良かったと思います。この連を暗示するようなストーリー展開があるとまたさらに素敵度がアップしそうです。とても美しい表現が多彩に盛り込まれていますが、その部分を少し具体的にこの最終連に近づけていくと良いかもしれませんね。
それから、体言止めが少し多いかもしれません。好みですが、自分がもっと強調したい部分にあえて使うなど、少しだけ匙加減してみてくださいね。
「星街ムーブメント」松本福広さん
松本さん、こんばんは。わたしは今夜はショパンコンクールのライブを聴きながら評を書いているのですが、なんだか松本さんのこの作品とピッタリだなと思っています。こちら散文ですが、ショートショートのようにも読めて、とても素敵な作品です。ストーリーは心に残りますね。佳作です。一点だけ。綺麗にラッピングして/差し上げたいと思う、という部分ですが、「と思う」はないほうがいいかもしれません。詩なので、「と思う」はもったいないかななんて感じました。蛇足ですが、この作品を読んだ時にどきりとしました。高校生の時に、腕時計の中を見つめていると、びっくりするほどいろんなものが映っていました。教室中と言ってもいいくらいに大きな世界が広がっていて、隣に座っている友達がノートに書いていることとか見えたんですよ。そのことをつい思い出しました。
「最高の思い出 最高のはじまり」じじいじじいさん
じじいじじいさん、こんばんは。お待たせしました。
青春の1ページですね。瑞々しい時間が流れていて微笑ましいです。
吹奏楽部は今は認知度が高いので、伝わりやすく想像がしやすい題材です。そのため、最初の3連まではもう少しギュッと縮めて、また言葉の重なりなども整理されてみると良いかもしれません。同時に、四連を少し膨らませて、特に「私」の心情を掘り下げていくと読んでいる人が感情移入していくと思います。この日を迎えるまでの気持ちというか、それは気持ちとして語るというよりも、例えば、プログラムの曲の難しさに乗せてもいいですし、苦労のようなものが苦労としてではなく「ああ苦労したんだな」とわかるように書かれていると、やり遂げたことに対する感情移入が増えると思います。その後の告白の部分ですが、こちらはもう少し推敲して整理されるともっと伝わってくると思います。例えば、私はタツキに「私もタツキが好きお願いします」、という行ですが、私はタツキに、と書かなくても「私もタツキが好きお願いします」だけ書けば十分に伝わります。こう言った部分をスッキリさせてみてくださいね。
「台無し」多年草さん
多年草さん、こんばんは。
台無しってそういえばこういう感じだったななんて思いながら、面白いタイトルだなと感心しました。そしてとってもリズムの良い多年草さんの個性を感じる作品になっていますね。そして台無しのオチがすごく良かったです。おまけの佳作です。ひつこいほどに続く「続く」はこれはこれでいいんだなと思わせる不思議さがあります(褒めています)。実はタイトルから読み始めて、深刻な内容なのに、なぜかクスリとしてしまいました。ところが「あれやっぱりすごくシリアスな作品なのかな」と身を引き締めていたら轟音にやられました。こういうところがすごく個性的で、良い部分です。一つだけ。この作品の場合は一語一語がとっても大切です。ですから、体言止めの使い方は少し考えてみてください。前半は一人、に絞っていいかもしれません。その強弱、強の部分は十分に効果的なので、弱について少し見直されていくとさらに良くなっていくと私は思いました。
「もぐらの詩」上原有栖さん
上原さん、こんばんは。
もぐらって不思議な生物ですよね。どんな物語が待っているのかとても楽しみに拝見させていただきました。面白いですね。佳作一歩手前です。補足のところ(がすごく面白いので)を作品に落とし込めるといいですね。なんて色々考えましたが、きっと上原さんが書きたかったことに焦点を絞って書かれたのだろうと思います。そう言ったことが伝わってきたのが良かったです。一字下りのところ、第三連がとても良いので、そのテンポを同じく一字下りの五連に繋げると良いと思います。人って書かずに三連のように暗示したままの方が粋かな。そこからの最終連も少し練るとさらに良くなると思います。ここが一歩手前の部分でした。
「自爆」相野零次さん
相野さん、こんばんは。すごいタイトルがやってきた!と思いながら拝見しました。
そうですね、私が想像した以上にすごかったです。きっと思い切って挑戦されたのですよね。
その心意気は買いますが、読んでいるうちに私には怖すぎてその深い部分が伝わってきませんでした。エキセントリックなお話にしか読めなかったんです。これは私の理解力の問題なので、作品の良し悪しとは関係なく、前衛的な作品は私ではうまく読み込めず、汲み取れません。お許しください。マイルド希望です。
「あなたは私の記憶」佐々木礫さん
佐々木さん、こんばんは。
すごく良いと思うのです。筆力は申し分ないし、何より世界観が素敵です。佳作一歩手前です。
一歩手前の部分ですが、あなた、私、彼女、の人物構成が少し複雑で、混乱して何度か読み直しました。それがとっても残念です。あなたは狼であり、渡り鳥である。ここがまず少し混乱しました。私がいるので一人称で描かれているのですが、あなたが私と重なっているので、あなたの感情が描かれていても納得できますが、どこまで重なっているのかというところがはっきり伝わってきませんでした。素敵な表現がたくさんで、色彩も音も匂いもするようです。ですので、人称を捉えるのに読み手がもたつくととっても勿体無いなという気持ちです。もう少しだけ推敲してみてくださいね。
「答えのゆくえ」津田古星さん
津田さん、こんばんは。お待たせしました。
こういう感情って多くの人が持っていて、共感が大きい作品だと思います。人をジャッジする人は自分に厳しい方が多いですよね。自分に丸つけをしてしまうこと自体、とってもしんどいことです。これが精一杯だったのだから、という言葉は本当に真理で、その時の精一杯を生きてそれを重ねてきた自分に「よく頑張ったね」と言ってあげたいところですが「努力は認めましょう」という作者がやっぱり自分に厳しいのだなとわかります。一方で「努力は認めましょう」と思い付かない、自分の精一杯だったのだから、と思い付かないで苦しんでいる多くの人たちに大きなものが届くと思います。素直にストレートに書かれた作品で、苦しみながら、進んでいく、迷いながら、それでも一生懸命生きていく、そんな姿が見えて愛おしい答えの行方でした。佳作です。
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季節の変わり目、と言って良いですよね。
昨年の秋に何を着たんだろう、服がないなと思ったのですが、昨年も今年みたいに秋がほとんどなくて、パタリと冬が来たような気がします。みなさま、今が多分秋ですよ!笑。体に気をつけて楽しくお過ごしくださいね。