10/7~10/9ご投稿分の評です。 滝本政博
10/7~10/9ご投稿分の評です。 滝本政博
「カメレオン」 喜太郎さん 10月8日
いいですね。佳作といたします。
予定調和の感じがなく、カメレオンと言うことで、色についての展開に合わせて、筆力で捻じ伏せて最後までダイナミックに描かれています。
考えながら、感じながら前に進んで書いてゆく感じがいいです。
途中、出てくる捕食者達とは何か、何の比喩なのか?そのあたりの関係性がもっと描けていたらさらに良くなったと思うのですが、どうでしょうか?いや、普通に読めば気にせずに読めるのですが、カメレオン対捕食者の関係、考えさせられます。
昨今の世相を眺めるとき、出鱈目な政治によって弱体化した市民が立ち上がり団結して……という姿も見えてくるような気がいたします。
最終連の二行は希望の兆しがあります。
気になった所は。「どうしても」が二度「そして」が二度、「やがて」が四度使用されていますが、削除出来るところは削除し、または別の表現に変えたりして、なるべく重複をさけてください。癖になってしまうと怖いので、こういうところは推敲時に潰してください。また、これはそういう意見もあるということで聞いて欲しいのですが、私の感覚では詩の中に「そして」は使用したくないです。場面を転換して前に進めるのには便利な言葉なのですが、う~ん、どうしてかな、安易すぎるからでしょうか。個人的な意見ですが一考してください。
「雨上がりの光芒」 多年音さん 10月9日
作者の人間性でしょうか、親しみやすくどことなくユーモアのある書きぶりで好感が持てます。
生は誰にとっても楽なものではない。
傘を忘れた作者は雨に降られた。
そしていま、雨は止み陽が射してきたのであるが……。
モノローグ。悪態のつき方が芸になっていて、リズムがよく、独自の文体があります。
詩において文体とは大切な武器であります。他との詩とを区別する個性であります。詩とは文体であるという人すらいます。まあ、それは言い過ぎだとしても、今後も磨きをかけ大切にしてください。
タイトルの「雨上がりの光芒」は攻防とのダブルミーニングなのかな。そんな風に考えると面白いです。
一連二行目の「徐にこちらを向く」の徐(おもむろ)は、動作が静かでゆっくりしている様子なのですね。私はいままで、突然・不意の意味に思っていました。それは誤りということで、いい勉強になりました。
最終連において作者は「上ばかり見て石に転びかける」のですが、
ここストップモーションのような効果があり面白いですね。
また、最終行の「まぁ、見てない自分が悪かった」は、以外に冷静だなと笑いました。