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スレッドNo.635

銀杏  晶子

私をお受け取りください
春の柔らかい葉の頃も
夏の私の陰も
秋の金色に降る私も

あなたの周りを舞い
微かに触れて散ることを
私は望む

ただ静かに立っていた
根の周りの土は暖かかった
小さな虫達が蠢いていた
大地の温もりと月が海を泡立て
水はどこかに急ぐように
結んでは離れて巡った
天と地の間
泣いていたのは誰
ちはやぶる
誰かが四股を踏んだ
龍笛の音が駆けた空
なゐ振る
慟哭が聞こえる
その中に立っていた

萬のものを種として言の葉が生まれた

生を得て空に帰するのは必定
ただ泡沫の世に言の葉だけを置いていくことを許して欲しい

夜明けが近づいている

何度芽吹き
大樹になろうとも
ただ静かに
誰も巻き込まず
倒れることを
私は望む

ただ雪のようなさびしさと
ともにゆくことを
私は望む

編集・削除(編集済: 2022年09月12日 08:47)

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