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スレッドNo.6371

秋の葉桜  つる

一枚の葉が

それは唐突に
私の目の前で秋という宣告をするかのように
地面にパタリと落ちた

嗚呼 まだ黄色い葉じゃあないか

葉桜を見上げると
緑色の葉がまだ多くひしめき合っていて
黄味掛かった色の葉は少なかった

秋の入りは緩やかなどではなく
私が思うよりもその季節の変化を
厳然と
かつ落胆的に表出させているのかも知れなかった

気付いた時には秋

アスファルトの地面に落ちたその葉は
収まりの悪く
決まりの悪いように
人工物とのコントラストを見せている

本当はまだ枝にくっついて
徐々に枯れてゆき
充分に赤味の色を付けたところで
緩やかな秋風に誘われるようにして
力なく枝から離れて
はらはらと落葉したかったろうにと

そしてそれをさも情緒的な美しさとして
私は見とれたかったのだけれど

実際は
若きその一枚の落ち葉は
私の心に秋という傷痕を残した

死が唐突であるかのように
生が奇跡的であったかのように

なあ いつまで見つめていても仕方が無い

ぶっきら棒になって
私はその場を振り切るようにして
自転車のペダルに足を掛けて漕ぎ始め
ようようよくも立ち去ったのだ

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