通勤風景 aristotles200
夜明け前、朝の通勤風景
あくび、眠け
駅のホームで並んでいる
ビルに囲まれ
空は少ししか見えない
突然、空が白く輝く
ざわつく通勤客
何が起こったのだろうか
重量音がする、振動
ベチャ、ベチャと聞こえる
悲鳴が、あちこちから上がる
空を見上げると
巨大な、黒と赤のお腹が見える
え?
膨らんでは縮む
ビルを凌ぐほど大きい
アカハライモリが目の前にいる
巨大な両生類は
目の前の餌に気づく
じっと見つめ
驚くほどの敏捷さで
通勤客を呑み込み始める
悲鳴
パニック
それぞれ逃げ始めた
ペチャ、ペチャ
後ろに
巨大なアカハライモリの息
イモリは動かない
この表情と、お腹のまだら模様は
家で飼っている
アカハライモリそっくりだ
まさか
ニョロか?
こちらを見ている
ああ、ニョロだ
どうしたんだ、いったい
目の前に迫る
巨大なアカハライモリの顔
肌に触れる、うまく制御できるかも
遠い記憶が蘇る
数千年前、文明を崩壊させた
−巨神兵の七日間−
巨神・イモリの口から放たれし
ソドムとゴモラを滅ぼした、天の炎
大きく口を開けるアカハライモリ
面白い
ニョロに命じる
薙ぎ払え
と、呑み込まれた