MENU
1,585,743

スレッドNo.6434

秋月夜 喜太郎

障子を通して部屋を仄暗くする月明かり
花瓶から一輪の露草を手に取り
畳の上 横になりそっと傍に置く

浴衣の裾が少しはだけて
湯上がりの赤みを帯びた足があらわになる
少し涼しいと感じる

仰向けになり暗い天井を眺めて
露草を胸元に置きなおす
あなたが私に似ていると言った花だから
愛しくて仕方ないの

このまま花に抱かれたなら
私は息さえも忘れてしまっていいのに

逢いたい

この火照りはあなたしか癒せないのに
それでもこの寂しさは心の中を愛で満たしていく
満たされないのはこの身体だけ

なんて卑しい女
なんて素直な女

秋の夜は長いのね
秋の夜は切ないね

想いを寄せるには素敵すぎる夜だから
そっと露草に両手を寄せる

編集・削除(未編集)

ロケットBBS

Page Top