捨てる。 佐々木礫
捨てる。
捨てられないものから先に捨てる。
忘れられない記憶を捨てる。
遠くを見ていた希望を捨てる。
いま生きている自分を捨てる。
そこに居場所はないから、
生まれ育った故郷も、他人に寄り添う心も捨てる。
理由も問わず、感情も問わず、
忙しなく動き、ただ捨てる。
部屋に残った空き缶、
読み古した少年漫画の埃。
それは私の断面だった。
ゴミを片付け、六畳の部屋が残る。
やがて、虚無に腐食した心は、
烏の漁ったゴミ捨て場。
叙情もなく、
ただ汚れているだけ。
捨てる。
捨てられないものから先に捨てる。
忘れられない記憶を捨てる。
遠くを見ていた希望を捨てる。
いま生きている自分を捨てる。
そこに居場所はないから、
生まれ育った故郷も、他人に寄り添う心も捨てる。
理由も問わず、感情も問わず、
忙しなく動き、ただ捨てる。
部屋に残った空き缶、
読み古した少年漫画の埃。
それは私の断面だった。
ゴミを片付け、六畳の部屋が残る。
やがて、虚無に腐食した心は、
烏の漁ったゴミ捨て場。
叙情もなく、
ただ汚れているだけ。