10月28日(火)~10月30日(木) ご投稿分、評と感想です。 (青島江里)
◎10月28日(火)~10月30日(木) ご投稿分、評と感想です。
☆永遠のパレード ゆづは さん
ハロウィンと仮面をかぶった本当でない「僕」の複雑な気持ちをうまくブレンドされている作品だと思いました。「ジャック・オー・ランタン」や「トリック・オア・トリート!」と、僕の表側の顔や心の奥、それらの対峙。ハロウィンという行事と「僕」の日常の重なり。どれもこれもデコボコに突起することなく、一つの作品として丸くおさめていらっしゃいます。読み手からすると、ハロウィンの場面を想像しながら、「僕」の心の面に関しても同時に読み追い続けることができますね。
少し気になったのは登場する「君」の存在です。愛想笑いなど、仮の微笑みをされる人なのかな。最終連では「本当の君と」「もう一度」とされているのですが、「君」の仮の笑いをされている「以前の君」ことについては、どういう人だったのかはわからないままです。なので、このままでも特に問題はないのですが「もう一度」を消されるか、或いは昔は違う君だったという内容をどこかにおいておかれると、個人的には、今よりもすんなりと作品が流れるような気もしました。
今回の作品で一番印象に残ったのはこちらです。
オレンジの光が闇を引き裂くたび
僕は 仮面の下で素顔を隠す
ジャック・オー・ランタンの笑みが
僕の顔に重なる夜
とても幻想的なオープニングでした。映画を彷彿させてくれそうな初連でした。すっかり日本にも溶け込んだ「ハロウィン」の行事。秋という季節も感じさせてくれる作品でした。今回は、ふんわりあまめの佳作を。
☆友愛 つる さん
はじめてさんですね。今回は感想を書かせていただきますね。
短い詩行の中に、作者さんの様々な思い出が込められていますね。作者さんの一人でどこか遠くを見ながら人生を振り返り、静かに、これまでを回想をしている姿が目の前に浮かんできました。
思い思われ振り振られ。などという言葉を子供の頃、年上の女子から聞いたころがあります。思ったり思われたり。うまくいきそうだったり。そうでなかったり。友情だったり愛情だったり。人生、山あり谷あり。そしてまた、さまざまな出会いや別れもあり。そのような心の行き交う様子を一本道ではなく「愛の返る循環」と表現されているところは、印象的でした。
程良き苦に幸せを感ずる心
とても深い言葉だと感じました。苦に幸せを感じると言われてもピンとこない気がするのですが「程良き」とつけると、どこか納得させられるものが、個人的にはありました。ちょっとした切なさや愛情にきゅっと縛れるような、物悲しいような酸っぱいような気持ちです。言葉を一つ入れるだけで、こんなにイメージがかわるものなのだと感じさせてくれました。呟きのような回想が印象深い作品でした。
☆これは恋です 喜太郎 さん
告白されてから徐々に相手のことを思ううちに、しだいに恋愛の感情が芽生えるということは、ありえそうですね。零から始まる恋もあるっていう感じでしょうか。詩は、実体験でもそうでなくても、自由に思うままに表現できるところも魅力の一つですよね。この作品はどちらのものであるのかは定かではありませんが、楽しそうに書いているなぁという雰囲気はたっぷりと伝わってきました。
ただ、今回の作品におきましては、書きたいことがありすぎたのか、もしくは、伝えたいことを取りこぼしたくないという思いが強すぎたのか、一から十まで行動を書き込みすぎたように、個人的には思いました。
一から十まで詳しく書き込みたいという気持ちは、とてもわかりますが、そうであるなら、文章であってもよいことになってしまいそうな気もします。どこかで何かを読み手に想像してもらうという部分を、少し増やされると、読み手にとっても想像する空間を楽しむという余白を広げることもできますね。連の一部を足したり減らしたりしながら、作品全体を整えてみてはどうでしょうか。表現してみたい詩のテーマについては、繊細なものがあり、作品に取り組みがいのある良いものだと思いました。
今回の中で一番印象に残った連はこちらです。
好奇心が芽生えた
心は少し熱くなり私の頬を染めてゆく
私を恋しいと思ってくれる人がいる
特に「私を恋しいと思ってくれる人がいる」という一行には、血の通う熱い思いが感じられました。一粒のタネが、太陽の光を感じて芽吹き、のびのびと双葉を開くかのような温もりを感じさせてくれました。新しい感情の始まりを感じさせてくれました。
LINEでも送ってみようと携帯を持ったら
あなたからLINEが届いた
最終連の偶然の部分もよかったです。ますます相手への良好な思い、わずかではあるけれども、また少し距離が近くなったような感情をみせてくれました。お互いをわかろうとするあたたかい気持ちが感じられる作品でした。今回は佳作一歩手前を。
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あっというまに11月も半ばです。街ではクリスマス用品が並び始めました。一年は早いですね。通勤途中でキンモクセイの木々に出会えます。とてもよい香り。アスファルトの上の花ガラはオレンジの星砂みたいです。あと少し、短い秋を楽しみたいこの頃です。
みなさま、今日も一日おつかれさまです。