死者の息吹 ゆづは
静寂に支配されたその地に
石の道を行く影たち
足音さえ 風に溶けて消える
灰色の空が重く垂れ込め
光を失った街の隅々で
墓標が並ぶ
その先に眠る者たちの
幽かな声が響く
生者の足が届かぬ地
過ぎし時の流れは
冷たく凍りつき
それでも 彼らの記憶は
消えることなく残り続ける
深い闇に 刻まれたまま
墓石の間を彷徨う風は
黄泉の扉を静かに開き
遠い昔の歌を運ぶ
それは死者たちの 無言の祈り
ここは眠れる者たちが見守る街
生きる者よ 忘れるなかれ
その名は 永遠に刻まれし
死を超え 時を超えて
なお語り継がれしこの地に
闇と光が交わるその刹那
死者の息吹が
新たなる命を ひそかに呼ぶ──