永遠に続く刑罰 光山登
僕はどす黒い岩に囲まれた断崖の上で、右手を見つめていた。
たしかに、この手がやったんだ。
海を見下ろすと、地獄のうねりがとどろいていた。
今の僕には、天使のような家族がいる。
笑顔の耐えない職場もある。
それでも心の奥底で叫ぶ闇の声は響き続いていた。
二十年前の悔恨が、頭の中を真っ黒に染める。
たしかに僕が彼女を刺した。
罰を免れたのはまさに天の恵みだった。
ああ、それはほんとうに恵みだったのだろうか。
真っ白な暮らしに差す一点の染み。
刑罰を逃れた僕は、今でも終わることのない罰を受け続けている。
断崖の下では、黒い波が地獄の使い魔となって僕を手招きしている。
誘われるように僕は鉛のような右脚を上げた。
ああ。
これでようやく、罰が終わるんだ。
次の瞬間、僕は右脚を救済の空間に向けて踏み下ろした。