屋根番の風見鶏 多年音
突き抜ける風
ギィギィと
風見鶏は風の方を向く
風に思うはカラスの事
意地の悪いカラスの事
「風に乗ったって
お前は何処へも行けやしないんだよ。」
そう言われたのは
羽がまだ光沢持つ頃
なぁお前は海とやらに出会えたか
南から吹く風
ギィギィと
風見鶏は風の方を向く
風に思うはスズメの事
世話焼きたがるスズメの事
「雨も避けれず大変ですね
僕の羽は役立つでしょうか。」
そう言われたのは
鶏冠が少し滲んだ頃
なぁお前は食われてしまったか
後ろから風
バキッ
ドサッと
回り損ねて風見鶏は空を向く
燕の巣を見たのは、初めてだった
それは
ぎゅうぎゅう詰めで
暖かそうだった