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スレッドNo.6549

ある物語   晶子

綺麗な玉がありました
曇りもなく傷もなく
ガラス玉のように世界を映しました
ある日
女の人に出会いました
彼女は素敵だったので
彼女を映す玉はとても嬉しくて
ずっとそばにいたかったのです
でも一緒にいる男の人とよく喧嘩して
彼女は時に酷い言葉を玉に吐き
傷付けて
その後ごめんねと泣きました
玉は傷付いた自分が嫌でした
彼女の涙が沁みるのが嫌でした

玉は映すことをやめて
ただ転がっていくことにしました
小石で擦り傷が増えていっても
気が付かないふりをしました
そうしているうちに
曇って本当に映せなくなっていきました

転がり転がりしてるうちに
何かにぶつかって
痛いと聞こえました
そっとまだ曇っていないところから覗いたら
自分と同じような玉がいっぱいで
近づいたり
ぶつかったり
離れたり
なかには割れてしまったものもいました
それがなんだか悲しくて
玉はいっぱい泣きました
なんでこんなに悲しくて
なんでこんなに辛いのか
お日様に聞いてもわからない
雨に聞いてもわからない

泣いて黙って
呻いて笑って
そんな月日が流れたら
綺麗な玉がありました
傷付いたこと一つ一つが
カットガラスのそのように
無垢ではないけど
純粋ではないけど
キラキラキラと輝いた

これはあなたの物語
私の愛しい玉のお話

編集・削除(編集済: 2025年12月02日 16:19)

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