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スレッドNo.6572

感想と評 11/28~12/1 ご投稿分 三浦志郎 12/6

1 aristotles2000さん 「荒野」 11/28

冒頭連の初期設定は、植民星の住人がみんないなくなり、ロボットだけになった、という意味でしょうね。「ロボットたちは動きを止め/仕える人間はいない」からすると、ロボットが人間より上位社会の星と推測されます。唯一残って動いているのは、ロボット「760 43-kw0262JU」。こういった名前を考えるのは作者のみに与えられた特権で、考えるのは楽しいものです。僕にも憶えがありますね。その一台残されたロボットの任務は奇妙なものでした。思えば、この植民(地)星は本(国)星から見捨てられたも同然で、この主人公ロボットは後始末を任され、その最期を見届け、自らも生を終わるように命令されたものでしょうか?そういった任務を背負うのは新進気鋭のロボットではないでしょう。旧型でしょう。
そこに哀れを誘われます。おそらく飼い捨てのように朽ち果てるのでしょう。終連が素晴らしいです。挽歌を感じます。鮮やかな紅色とロボットの最期が対比でもあり同調でもありそうです。ヘンな言い方ですが、機械の孤独と末路を感じます。佳作を感じます。


2 佐々木礫さん 「私は自切マーメイド」 11/28

「マーメイド異聞」とでも表現したいところです。
冒頭、あっけなく死んでしまう旦那さんは可哀そうですね。その旦那さんとの間の子供でしょうか。
出産という事態の中で、いろいろなことが語られます。要約してしまうと「水陸両用・人魚人間両用」といったところでしょうか。
まずまず子供の事にも触れてますが、話は巡り巡って、戻って来るのは多くが自分のところですね。アッケラカンというか、自己中というか、やや性悪といった気がしないでもない。いろいろなことがいろいろな風に書かれていて、読むほうも忙しいのですが、読み終えて(はて、何が書かれていたんだろう?)と、ふと思う要素はありそうです。当初は陸で人間として育ってもらい、ゆくゆくは海に戻らせる、そんな意向でしょうか?想像力、ストーリーテリングは凄いものがあります。湧き出て来る発想を、どう組織して作品として構成していくか、その強弱、緩急、その足し算・引き算を加味されるとよいと思います。佳作一歩前で。


3 静間安夫さん 「コーヒー」 12/1

僕はコーヒーも紅茶もインスタントしか飲まないつまんないヤツであります。今後も僕はインスタントしか飲まないでしょう。しかし、こういった手間ひまかけて充分に味わう趣味性を充分理解し感じ入っていたいと考えます。そういったスタンスでこれを書きます。この詩はコーヒーの味云々にも触れていますが、むしろコーヒーと自己との精神的邂逅と読んだ方がいいでしょう。そう、コーヒーは文学と(音楽とも)相性の良いものです。(お酒も、ネ!)

「コーヒーの/わたしに対する/付き合い方」―このアプローチの珍しさは特筆しておきたいです。それ以降、披歴される立論も実にユニーク。(あ~なるほど!)とやや奇抜ながら妙に納得できるものでもありました。「ためしに/比べてみればわかる」以降の連ですね。提示された事例は魅力的、説得的でありながら、多分に毒も危険もはらんでいる。やや強引な論理が無くは無いけれど、
事例とはやや極端に調節した方が分かりやすいし、読むほうも面白いのです。これでいいと思います。対するにコーヒーは「バランスと中庸の精神~偏りのない眼差し」はコーヒーに感謝を込めての名文献呈とでも呼ぶべきでしょう。終連は結論であり、これからも続く意志の事でしょう。佳作です。


4 多年音さん 「屋根番の風見鶏」 12/1

風見鶏とはロマンや抒情味もあり、文学との相性も良さそうです。そういった意味で良い選択眼だと思います。ここで見ておきたいのは「命ある鳥と命ない鳥」―そんなやりとりでしょう。皮肉屋カラスは、ここぞとばかりに風見鶏を揶揄します。スズメは薄情けをかけますが、これもどこか優越感が仄見える。ここまでを概観すると「命ある鳥の自由、優越。命ない鳥の束縛、不自由」といったところでしょうか。どちらかと言えば、後者の悲哀が僅かに多く読み取れるようです。前半はやや定型的な展開になっていますが、むしろ、ある雰囲気が出ていて僕は悪くないと思います。
終連は風見鶏が全身で表した憧れであるでしょう。燕の巣はいつも賑やか、親子の絆があり暖かい。人間からも手厚く保護されます。風見鶏はそれに、幸せのひとつの姿を見たようなのです。そのさり気ない書き方に好感が持てます。詩に少しずつニュアンスが出て来ました。甘め佳作を。

アフターアワーズ。
風見鶏を調べると、神戸市との関係が出て来ます。神戸の街並みのイメージに似あっているのでしょう。


5 晶子さん 「ある物語」 12/1

① 「玉石混交」……価値あるものと価値ないものの混在状態。
② 「転がる石には苔は生えない」……あれこれ やり散らしていると事は成せない(否定)
               ……能動的に新経験を求める人は時代に取り残されない(肯定)

この詩からこういった慣用句が浮かんで来ます。物語というか童話風で、挿絵があったりすると、余計、詩が引き立ちそうです。
初連では完璧な玉が存在しています。ステキな女性と出会って、蜜月状態が続きますが、長くは続きません。それをきっかけに2連では環境がガラッと変わります。今までの玉からすれば、これはある意味、転落なんです。その要因はその女性にありそうですが、なぜそうなったか?が僕にはちょっと解せませんでした。続く3連は、そのまま①と②の世界ですよ。極端で、ちょっと乱暴な言い方をしてしまうと、3連状況こそが社会の赤裸々な姿と言えなくもない。対して4連。ここは新たな発見と見ていいでしょう。簡単に言ってしまうと、今まで傷は確かにあるが、それを個性というか自分なりの輝きに替えてしまう、そんな生き方があったのだ、といった発見でしょう。まとめが示すように、これは生き方の寓話詩。佳作です。

アフターアワーズ。
①から、ある歴史小説の一節を想い出しました。織田信長の比叡山延暦寺焼き討ちです。
小説は彼にこう言わせます。「玉石ともに砕く!」(高僧・悪僧ともに砕く)―すさまじいほどの意志と実際です。
②のことわざ英語「Rolling Stone」はバンド名、曲名、雑誌名、など各種起源になっていて面白いですね。
後付け。 あ、タイトル、ひと工夫ください。

評のおわりに。

さて、12月。まだ「師走!」の切迫感はないけど、
まずはクリスマスツリーなど飾りますか!?
かける音楽も、ややクリスマス風にー。
たとえば、POPSでー。
Chris Rea 「Driving Home for Christmas」
Vanessa Williams 「Do You Hear What I Hear?」
ちょっと古いけど、お勧めかな?  では、また。

編集・削除(編集済: 2025年12月06日 11:36)

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