錯視から得られるもの 光山登
その優美な殻の中身は、
空虚な窒素の集合体に過ぎない。
錆を切り捨てた金色に塗り固められたあの城、
その中に居るのは乱視に取り憑かれた人たち。
彼らの目からは腐敗臭がする。
とどまるべきは、この汚濁の地ではない。
終わりのない認識の連鎖を超えるべき場所だ。
真理にのみ価値があると誰が定めたのか。
虚偽には価値がないと誰が命令を下したのか。
僕たちは迷妄の世界を迷妄のまま肯定しよう。
殻の中の窒素を甘美な果実に変えることができるのは、
ただ僕たちのはかない願望だけだ。
この手の中には成熟した赤い実がある。
これはただの錯視なのか?
それならそれでよい!
それでこそ、
君も、
僕も、
幻の存在ではないことを確信できるのだから。