おかみさんと猫 小林大鬼
師走の初め
旭市の外れの
小さな温泉旅館
おかみさんと猫がいて
時々客の世話をする
人懐っこい猫は
客に擦り寄り挨拶して
勝手に寝床に入って来たり
風呂場で人を待ちながら
気持ちよく寝転んだり
居心地のいい場所にいる
家の二階の仏壇には
両親と旦那の遺影と位牌があり
蝋燭と線香に火を点けて
私はそっと手を合わす
矢指ヶ浦の浜辺に朝日が昇り
おかみさんと猫の一日がまた始まる
師走の初め
旭市の外れの
小さな温泉旅館
おかみさんと猫がいて
時々客の世話をする
人懐っこい猫は
客に擦り寄り挨拶して
勝手に寝床に入って来たり
風呂場で人を待ちながら
気持ちよく寝転んだり
居心地のいい場所にいる
家の二階の仏壇には
両親と旦那の遺影と位牌があり
蝋燭と線香に火を点けて
私はそっと手を合わす
矢指ヶ浦の浜辺に朝日が昇り
おかみさんと猫の一日がまた始まる