風は循環する 光山登
風。
らんらんと腐乱したにおい。
普遍的な死が待ち伏せている。
僕はさわやかな風に運ばれて生まれた。
誕生は悲劇だ。
みんな泣きわめいて歯ぎしりしながら生まれる。
回りの子どもたちはみんな朽ちていった。
やがて生きる屍となってどくどくしいにおいを発するだろう。
泣きながら生まれ、
そして泣きながら育った僕だけが、
よく生きるにはまぶしすぎる光を浴びても朽ちなかった。
僕にもいつか再び風にさらわれるときが来る。
泣きながら生まれて泣きながら大きくなったけれど、
この世を去るときには、
さらさらと、
さっそうと、
僕を運んで来た風のようにさわやかに吹かれたい。