傘花 上原有栖
雨模様の一日
窓下の歩道に傘が行き交う
二階から視線を投げると色とりどりの
六角形や八角形の花が咲いていた
見下ろすかたちになるから
持ち主の姿を
わたしは頭の中で思い浮かべる
小さなカラフルパステル傘は
登校中の児童たち
大きくて黒い蝙蝠傘は
仕事ができる初老の紳士
可愛らしい赤ビニール傘は
デートに向かう女の子
慌ただしく揺れる透明傘は
遅刻を焦る学生だろうか
歩道が雨濡れて
道に咲きながら動く花々
主を滴から守る友となる
雨の日にだけ咲く鮮やかな花々
わたしの雨の日の楽しみでもある
雨が小降りになってきたね
道に咲く傘花も一つまた一つ萎んでゆく
太陽が顔を覗かせた雨上がり
空の向こう側には虹が見えていた
窓を開けて階下を覗く
道行く人の傘花は
巻き取られて蕾になっていった
今も咲いているのは
手すりに置いたフラワーボックスの
色とりどりの花鉢だけになった