評ですね。12月19日〜22日ご投稿分 雨音
⚪︎都合によりお先に失礼致します。
「むぐつちよ」萩原蔵王さん
萩原さん、こんにちは。お待たせいたしました。こちら青空の一日です。
ご投稿ありがとうございます。作品拝見いたしました。
こちらは古語調の作品で、そのためひらがなで統一して書かれたのかなと解釈しました。古語調で書くことについて、この掲示板のルールには特になかったので、このまま拝見します。和歌が得意な方だともっと深く読み取れるかもしれませんが、私の知識の範囲で読ませていただきましたのでその点はご理解いただけると嬉しいです。
「むぐつち」が何かということが実はわかりませんでした。ただ、これは呼びかけになっているため、固有名詞なのかなと想像します。そうするとこれが何かよりも、これに何を伝えているかの方がこの作品の核となると思います。
一連目、この連はどんな荒波からも守って、という言葉から始まります。真砂という儚さをもつ浜辺をも守って、そうしているうちに春が訪れるのかしらという問い。そして二連目には喧騒の中で耐える桜の蕾や泣き出しそうになりながらもほころんでいこうとする梅の花に心を寄せながら、それでも万物に自然に春は訪れるのかしら、という風に解釈しました。この作品には直接書かれていませんが、心の揺れがとても美しく見え隠れしています。それと日本語の持つ特有の美しさと細やかな心の機微が込められています。さまざまに解釈できますが、例えば、受験期にも当てはめられますし、もっと大きな世界への祈りと考えることもできます。古語というのは本当に美しい日本語だなと改めて感じました。「むめのはな」「あにかなしや」などなんだか色彩までもが日本古来の色が重なるようでした。
「傘花」上原有栖さん
上原さん、こんにちは。お待たせしました。
とても素敵なタイトルですね。これもまた日本語って美しいなって思える「傘」という漢字です。そして、私事ですが、最近とてもきれいな傘をいただいたんです。花模様なんですが、骨の形が花になっていて、それで、このタイトルとピッタリあっていてとても嬉しくなりました。
そしてそのタイトル以上に素敵な内容の作品で、これはなんだか年末に大きな花束をいただいたような気持ちになる作品です。佳作です。とても素敵です。
直すところはないです。このままで。
内容ももちろん素敵なのですが、姿の良い詩ですね。さっと上から下まで最初に眺めたときに「きれいな作品だな」という印象を持ちました。これは行の長さ、連のバランス、そして漢字の位置やひらがなとの配分、などいろんな要因が重なった結果だと思いますし、そこまで意識せずに書かれたと思います。ただ、なんとなく書いてもそういう感じになるというのは、やっぱり上原さんの実力だと思います。詩自体が美しく咲く傘花たちのようになっていて、そこに雨の粒、虹、光、そして希望が見える作品でした。
:::::
明日は大晦日となりました。今年も大変お世話になりました。
スケジュール帳(にメモがある)をさっと読み返しながら、今年もたくさんの方の良い作品と出会ったなと感慨深いです。皆様、本当にありがとうございました。
年末に悲しいお知らせをいただきましたが、今日は評を書きながら、気付くと「Kazu.さん、今回も良い作品を拝見できて幸せなだよね」なんてKazu.さんに心の中で話しかけていました。きっと他の評者の方も同じお気持ちかななんて思っております。私たちはずっと忘れませんよね。
皆様、お幸せにお健やかに新しい年をお迎えになるよう心からお祈りいたしております。