頬に灯る形見 ゆづは
あと三日で百歳だった祖母が
この世を去ってから
季節が何度巡っただろう
ふと 鏡を覗けば
そこに映る自分の輪郭が
一瞬 祖母の遺影と重なって息を呑む
そのとき 私は思い出す
ずっと昔に置き去りにしてきた
小さな問いがあったことを
私のこのえくぼは
誰に似たのだろう──
両親のどこを探しても見つからず
いつしか考えることも
すっかり忘れていた
遠い日の疑問
けれど今 鏡の中の私が笑うと
記憶の中の祖母が
同じように微笑む
ああ そうか
こんなところに 隠れていたのか
何年も 何十年も経ってから
ようやく見つけた 私の中の答え
受け継いだのは 形見だけじゃない
笑うたびに灯る この小さなくぼみ
三日届かなかった百年の続きが
私の頬で そっと生きはじめる
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島 秀生様、評者の皆様
小寒を迎え、澄み渡る風に新しい年の鼓動を感じております。
皆様の日々に、ささやかな幸いが芽吹きますよう。
本年も変わらぬご指導のほど、どうぞよろしくお願い申し上げます。