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スレッドNo.6709

俺を咎めよ  佐々木礫

神は、俺の独白を成り立たせるための、壮大な舞台装置である。
信仰なき俺が、語るに足る罪と赦しを演じるための前提。
普段は神のことなど考えず、時々、
己の寛容さを主張する似非クリスチャンに対して、
中指で十字架を切る俺ではあるが、
自己の悪徳についての詩を一つ書こうという時には、たったの一行だけだとしても、
俺に運命を与え、独白を許す存在の主語が必要になることがある。
だからこれから先、俺は信仰なしに神を利用することを断っておく。

――

「俺は決して見捨てず、助けもしない。彼らがどんなに恵まれていないか、どんな改善があり得るかを列挙した後、それを実行することは助けず、ただ深く愛してみせよう。」

罪に塗れた少年時代に立脚して、
裁かれる者を愛すると宣誓した、
自己の悪徳の隠蔽者である俺は、
過去の自身の過失の被害者へ謝罪を述べて、
社会善を弁えた者だと偽装した。

しかし、
その謝罪に対する、
神より授かりし返報が、
薄汚い1セント硬貨ほどの、
カインの刻印を模倣した、
偽善の勲章一つであることを見て、
それを溝川に投げ捨てた。

俺を愛し損ねた人よ、
臆病で猜疑心の強く、
他人を恐怖し傷つける、
戦争犯罪人たる俺を軽蔑し、
全く碌でもない人間だと噂を流せ。
それは見事なまでの復讐であり、
何の障害もなく俺の苦悩となる。
あなたは、
極めて快楽な会話の中で、
俺から受けた傷を癒やして、
有り余る快楽を得るだろう。

俺を愛した人よ、
笑顔も涙も見せることなく、
別れも告げずに去れ。
そして俺の記念にならないように、
捉えようの無い思い出となるのだ。
俺は決して手を出さないから、
あなたは、
視線に怯えて背筋を伸ばす俺のことを、
誇り高き者として鑑賞することができる。

正義に身を置く者よ。
俺のことは信頼せずに、
身勝手な期待をせよ。
俺が啞然としてしまうような表面的な反省の色を改善の印であると信じ、
不遜な態度は中身の無さと率直に捉え、これから働く不義理の証左と見ろ。
そうすれば、
俺を永遠に大衆の牢獄へ閉じ込めて置ける。
あなたは無知な凡人から、
晴れて尊き看守となるのだ。

編集・削除(編集済: 2026年01月12日 01:26)

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