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スレッドNo.6713

◎12月23日(火)~12月25日(木)ご投稿分、評と感想です  (青島江里)

◎12月23日(火)~12月25日(木)ご投稿分、評と感想です

あけましておめでとうございます。
旧年中は、色々ありがとうございました。
今年初めての評と感想です。本年もどうぞよろしくお願いいたします。

※投稿様さまの詩は、投稿さまのものです。こちらの方での評と感想では、正解、不正解ではなく、これは参考にしたいなと思うものだけを受け取っていただき、これは、ちょっと違うなと思うものは、こういう方法もあるのだなと軽く流していただけるとありがたいです。みなさまには、詩を書くことの好きな人へお手紙を書くように書かせていただいています。ふつつかではありますが、今年もみなさまと一緒に、詩を書くことや読むことを楽しんでゆけたらと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。



☆月夜の黒猫  ゆづは さん

ゆづはさん、修練最後の一行の変更の件、確認済みです。ご伝言、ありがとうございました。

とても幻想的な世界です。主役が黒猫ということで、闇に重なるカラーのイメージも重なり、幻想的な世界の上に、神秘的な空気さえ感じさせてくれます。また、レトリックの表現法がとても美しくて、夜の闇のしっとりとした空気の体感と、そこはかとなく感じさせてくれる、水の奥底のいるような静かな時間の広がりを感じさせてくれます。

全体像の世界は、とても美しさが感じられてよいのですが、ただ気になったのは、今回の作品に関しましては、個人的には、詩中の各連のレトリックの美しい個性がぶつかり合いすぎて、「僕」という猫の感情の部分がぼやけてしまっているように思えるところです。

多めになりがちなレトリックのいくつかを、現実に変換せずともそのまま読めるようにすると、主役の「僕」という猫の存在が大きく浮かび上がってくるように思いました。

今回、特によかったなと思ったのはこちらの連です

今宵、眩い光の毒に
世界が酔いしれる夜
僕はその縁から滑り落ち
鈴も祈りも持たぬまま
ひそやかに 深く
聖なる闇を祝福する

息をのむような美しさでした。
今回は佳作半歩手前を。


☆ダークヒーロー  TICO さん

TICOさん、はじめてさんですね。今回は感想のみで書かせていただきますね。よろしくどうぞ。

突然、聞いたことのない言葉で始まる一連目。驚きです。すぐさま、二連目の童話のようなラップのような言葉で、歌のフレーズのようなものなのだと理解できました。作中の「私」も推測できないフレーズなので、即興に近いものがあるのだなとか、突拍子もないフレーズに「山田くん」は超個性派のキャラクターなのだと思わせてくれました。フレーズがよい味を出してくれているんだなぁと感じました。

五連目から「山田くん」のキャラクターがさらに深堀りされていますね。その深堀りのされ方、表現の仕方が何ともいえない甘酸っぱさを感じさせてくれました。突拍子もない個性派のキャラクターなのだけれど、大雑把ではなく、人の心の部分に対して非常に繊細なものを持ち合わせている優しい人物だと思わせてくれました。「私」との距離感。猛ダッシュする癖に、ある程度の距離を一定に保ちつつ、確認を繰り返すという部分。振り返る彼の姿を想像すると、さりげないけれど、深い思いやりを感じずにはいられません。また、そのような距離の取り方に、彼の魅力を感じる「私」のキャラクターも、とても繊細でやわらかな風を感じさせてくれました。

職員室の裏口の秘密の開け方を教えてくれる彼をダークヒーローとするところも魅力的でした。大人とは違う私たちだけの秘密の世界が水の輪のように広がりました。そんなドキドキさせてくれる「山田くん」とだんだん離れ離れになっていく様子には、時計の秒針に肌をつつかれるような時の痛みも伝わってきました。

「山田くん」のいない時間に慣れてゆく私にも胸をきゅっとしめつけられるような切なさが伝わってきました。もうあんな人に会えないかもしれないという何とも言えないぼやけた不安のような気持ちと共に。

人の領域に土足に踏み入ることなく、気にしていないようで、実はさりげなく相手を気遣うという、振り返りという優しさ。優しさの視点がとても甘酸っぱい作品だと感じました。



☆ランナーズハイ  喜太郎 さん

新年、毎年行われる駅伝の中継。この作品を拝見していると、その時に走っていいたランナーの姿が巡りました。

「!」の連発もしかり、全体的にランナーの必死さが沸き上がってきました。限界を突破しなければゴールに辿り着けないランナーのエネルギーの力強さに圧倒されました。

ところどころ、文末を「い」や「だ」や「を」に揃えたり、命令形に揃えたりと、同じような音を揃えることによって、一定のリズム感が生まれ、走っている様子に勢いを与えていると感じられました。

個人的に気になったところは「今を生きる」という言葉でした。意識がなくなるような朦朧とした事態で「今を生きるんだ」という余裕が果たして生まれるかどうかということを、自分ならどうだろうと問いかけてみたところ、そこまで余裕はないかもなぁという気持ちになりました。言葉の感覚としては、若干、大き目なフレーズのようにも感じるので、別の言葉を考えてみるのもよいかもしれないです。そういう意味では七連目の「今を生きろの~」の部分は「答えなんか/答えなんか後でいい/走れ!走れ!走れ!/答えはついてくるんだ」のようにしてもいいかなと思いました。

八連目の地上5センチ上を走っているという場面を表現したシーンは、とても個性が光っていました。浮足立ちながらも前進している様子を飛んでいるとした表現は、ランナーの「ふんばり」が伝わってきました。

そして九連目の「胸を晴れっ!」この「晴れ」は「張れ」変換ミスなのか、それともあえてこのようにしているのかはわからないですが、少しでも前に行こうとしている気持ちがよく表れていると思いました。ゴールに向かって大きくステップを踏んでいるようなエネルギーも感じさせてくれました。

最終連の一つ手前の連の「そんな事を思ってる」は省略しても伝わるので無しにしてもよいかと思いました。最終連の一言は、とても素敵でした。いつか辛い出来事に出会った時、今日の日の頑張りが支えてくれるという意味や、この日があったからこそ、今の自分があるんだと、いつか分かる日が来るというようなメッセージを伝えてくれました。鼓動と息使いが伝わってくる作品、今回は佳作半歩手前で。



☆色彩の環  Ema さん

日暮れの様子を丁寧に表現してくれましたね。まるで小さなドキュメンタリー番組を見ているようです。また、色彩の変化の様子をこまやかに表現してくれていることで、少しずつ日暮れてゆく様子が、読み手の目の中にも静かに浮かび上がってきました。

個人的に気になったのは、漢字の使い方でした。読みやすさでひらがなを用いてみたり、グラデーションなど、やわらかさを強調するためにひらがなを用いてみると、より一層、よい作品に仕上げることができるように思えました。一例を並べてみました。何かお役に立てれば嬉しいです。

うすきいろ
うすべにいろ
うすむらさきいろ 
淡い色が重なる

↑(ひらがなにしても「淡い色」としているので、ひらがなを用いても色だとわかる)

弓形に見える天空の縁を
綾なす色彩

↑(穹窿は、普段あまり用いない漢字なので、違う言葉に変える方が、意味が伝わりやすいと感じました)

狭間をたゆたう
↑(同じく、普段あまり用いない漢字なのでひらがなに変えてみました)

ところで、別件でもうひとつ。「つややかで透きとおった/黄金糖を思う」の「黄金糖」ですが、こちらはお菓子の商品名になるので「黄金のキャンディー」もしくは「べっこう飴」にする方が安心かなと思いました。一例を。

つややかで透きとおった
黄金のキャンディーを思う

目を瞑って
手元にないその黄金を
ひと粒ふくんでみる

最後の太陽の光を黄金の飴に例えるところは、とても印象的でした。夕暮れ色が溶けて夜になる様子。黄金糖は、幼い頃に食べた飴なのかな。懐かしさという言葉とうまく溶け合って、ノスタルジアな空気をも醸し出しています。その飴の甘みが無くなった後にくる夜の帳。現実に引き戻されたかのような、小さな哀愁を感じさせてくれる着地でした。見過ごせば一瞬ぐらいに感じる日暮れの光景をとても丁寧に表現してくれた作品。今回は佳作一歩手前を。



☆クリスマスの夜  埼玉のさっちゃん さん

何なんでしょう。詩を拝見した後のその読後感のあたたかさ。とても寒い日、あたたかい部屋の窓ガラスが曇ってしまうような、人いきれを感じる温もりを感じさせてくれました。

昨今、クリスマスと言えば、メディアもこぞって、どこどこのお店のメニューが、どこどこスポットが、インスタバエしますよ等々、人に見せることの前提の情報であふれていますよね。そして、それらの情報をもとに現地に向かったりして、キラキラとした幸せ感を打ち出しているパターンが多く感じられるのですが、この作品を拝見していると、人の、ずっと昔からある幸福感、今を生きる人たちが忘れかけたり、置き去りにしてしまっているものを浮かび上がらせてくれているようにも思えたのです。

表現の方法についても、何の飾り気も感じさせず、ただただ、自分が幸福と思えることを素直に純粋に、子供のような心で綴っていらっしゃる、その部分もまた好感が持てました。仮に、同じ内容を綴っていても、背伸びした言葉を選んでいると、この作品は味わいの少ないきれいごとの作品に終わっていたかもしれません。

作中の中心にしっかりと置かれている「ただいま」と「おかえりなさい」のこの二語に込められた作者の「幸福感」がこの作品にマッチし、作品全体に広がりのある温みを与えているのだと感じました。おいしくてあったかいホットミルクに出会えたような作品でした。佳作を。



☆夕暮れの色  人と庸 さん

作者さんの夕暮れに対する視線、繊細な心配りが感じられる作品でした。

一日一日絶えず流れてゆく時間。季節の動き。実際に目にする自然の変化に重ねて、季節の変化を独自の言葉の選択で上手に表現されていますね。特に三連目の「青葉から紅葉に変化しようとしている」の後の空き家の光景を持ってきたところは、止まってしまった人の生活がより一層の止まらない季節の流れを感じさせてくれました。また、青葉から紅葉に変化すると感覚は、枯れてしまうというよりも、次の季節に向かっているという息吹を感じさせてくれました。このような言葉の持って行き方は、簡単に書けそうで、なかなか書けないのではないかと思いました。季節の流れ、生活、一生、というような言葉の意味合いについての思い入れがそうさせているように感じました。

赤くて小さな葉っぱがひとひら
鼻の頭に乗っかった

こちらも次の連の「痛みとともに」の痛み、葉っぱにあたった痛み、他者が気づかないほどの葉っぱの心の、小さな存在の痛みを連想させてくれる、よい役割を果たしてくれているように思いました。

ところで、このままでもいけそうなのですが、少しだけ気になったのは、こちらです。

一日の夕暮れどきに
一年の夕暮れの中をゆく

こちらは、一日の夕暮れは一年の中の一日の夕暮れであるということだと思ったのですが、場合によっては、一年の終わりと勘違いされる可能性がありそうです。「一日の夕暮れどきをゆく/一年の中の夕暮れどきをゆく」というような感じの言葉を加えてみると、更にわかりやすくなると思いました。

最終連の「せわしなく」は、赤いから冬に葉っぱが枯れていくことは、一見、勢いの落としているようにも見えるけれど、実際に目を凝らしてみると花芽をいっぱいに湛えているんだという動きを、一言にまとめて強調してくれています。芽は実際には動いて見えることはないですが、この言葉を用いることによって、人の動きを連想させ、まるで花芽が動いているようにも思えてきます。

言葉の一語一語に作者さんの思い入れを感じられる作品でした。ふんわりあまめの佳作を。



☆私小説的仙吉譚〜「小僧の神様」異聞〜  トキ・ケッコウ さん

小僧の神様の仙吉を現代の鮨屋、しかも回転鮨店にタイムスリップさせてみるという、とてもユニークな作品。物語的な要素に光を当ててみると、面白く読めました。そこを通じて、古典的な物語と現代作品との融合を考え、現代の感覚や問題意識を問うてみたりすると、現代社会の無機質さが見えてきそうです。単に便利な何かに、恵まれている誰かに与えられるものが神様と思えるような感情を引き起こすのかというと、必ずしもそうではないということが伝わってきました。

小僧の神様では、貴族院の議員の方が、小僧に鮨を食べたいという夢を叶えてあげていますが、このいきさつを読んだ他者の中には、金持ちが貧乏人に与えてやるという驕りだと捉える人も、必ずいます。そのようなことを考えると、何が善か悪なのかということもわからなくなってしまいそうです。大切さの根本を問うと、小僧自身が貴族院の方を神様と思えたほどの感情を、自分の手と足と心で感じとった、これ一つに尽きるのではないかということでした。何かを神様と思える現状を引き寄せるのは、自分の手と足、感じる心であり、意図的に他から運んできてもらうものでもないということが伝わってきました。

大量に魚を保存できて、鮨をたくさん作れる冷蔵庫も、好きな鮨を自分の好きなタイミングでとれる回転鮨も、非常に便利で、ありがたいものではありますが、あれだけの鮨が並んでいながら、自分の方へ回ってきてくれようとも、小僧には神様を感じる瞬間がありませんでしたね。そのようなことをうまく引用しながら、神様と思える瞬間とは何かということを、読み手に感じさせてくれたと思います。

詩の組み立て方というか、形の面に光を当てると、前半は物語の要素に入る前の注釈のようになっていてかなりの幅があります。中盤では物語のようになっていて、その合間や終盤では散文のような形になっています。結構、複雑な感じで、「○○詩」と例えることの難しさがありました。また何度も作中で登場する「・・・・」ですが、四つではなく「・・・・・・」の六つが一般的な形になります。一応、お伝えしておきますね。

「ベルトコンベアーの上を回ってやって来る寿司はまるで周り燈籠のようであり、手を伸ばすさきから消えていくような錯覚に彼は襲われている」

作中にあったこちらの表現はとても美しかったです。このような情景描写の豊かさを感じられる表現が、今回は、少し不足しているように個人的には感じました。「神様探しの小さな旅」というテーマ。とてもユニークで、独創的な香り際立つ作品でした。今回は佳作一歩手前を。


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新しい年が始まりました。一日一日が新しいということを改めて感じられる、一年の初め。睦月です。

みなさまの詩生活が、すこやかで充実した一年となりますように。

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