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スレッドNo.6717

中也の墓  小林大鬼

山々に囲まれた湯田温泉

住宅地の脇の墓地に
中也と家族の墓がある

題字は中原中也自身
中原家累代の墓と刻む

両脇に花々が添えられ
彼が好んだビールの缶が並んでいる

自分は合掌だけをして
古びた詩集を取り出して
彼が愛した詩を読み上げた

ダダに生きた殉教者は
我が子を失い
身も心も病んで
帰郷を前に鎌倉で死に
ただ骨だけが
この故郷に戻って来た

雪降るたびに
悲しみだけが降り積もる

墓参りの後
私は独り河岸に出た

メルヘンを浮かべたような吉敷川

私は斜めの石板に
足を滑らせ尻餅を打つ

あまりの痛みに叫んだ声は
師走の澄んだ空遠く
夢のように流れていった

黒い帽子と
黒いマントの面影が
風に吹かれて揺れていた

儚く優しい福音だけが
私の中に木霊した

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