あなたの歩幅で ゆづは
あなたは
誰もが家路を急ぐ 夕暮れの道で
立ち止まっては 何度も
靴ひもを結び直していた
みんなが
当たり前に渡っていく橋も
一枚ずつ 板が軋まないか
耳を澄ませ
そっと足を置いていた
それは
怖がりだったからじゃない
この世界を
傷つけないための
慎重さだったんだね
言葉は
いつも少し 遅れて届いたけれど
指先に触れた その熱を
誰より深く 受け取っていた
笑えなかった夜も
うまく答えられなかった朝も
あなたは
声にならない自分の心に
そっと話しかけながら
今日という日を 抱きしめてきた
「生きづらさ」なんて言葉が
ようやく世の中に現れても
あなたの歩き方は
もう そのままでいい
遠回りに見えた道は
いつのまにか
柔らかな広がりになって
転ばないように確かめてきた足跡は
誰かを包む 優しさになった
これからも
急がなくていいよ
みんなと競う速さより
何も壊さない その速さを
あなたは今まで
選んできたのだから
不器用な その足音を
私はずっと 聞いているから