焼肉定食 荒木章太郎
弱肉強食を
憎んでいるはずなのに
肉に食らいついている
裂け目は
閉じられず
広がっていく
痛みも
喜びも
悲しみも
産み落とされるが
成長だけが起きない
昼食は
焼肉定食
切り分けられた肉
善悪を量る手で
箸を動かす
昼間から
瓶ビール
煙が立ち
匂いが残る
家に帰り
布団を敷く
モニターの足元で
肘をつき
伏せる
言葉が
出ない
奴隷に戻るのか
赤ん坊に戻るのか
眠ることが
成長なのか
いいや
夢に逃げること
なのか
穏やかな顔で
羊の肉も
食べるではないか
弱肉強食の世界で
弱いものと
強いものの間で
入れ替わり
立ち替わり
捧げる側と
授かる側で
入れ替わり
立ち替わり