水玉いろのザムザ トキ・ケッコウ
トリみたいな鳥の雲が
イヌそっくりの犬の雲が
どこを飛び
どこに行こうとしてるんだろか
雲を眺めながら
さすがに風には訊けないな
そう思っていたら
雲のあいだから水玉いろのザムザが降りてきたのだ
あの毒虫で有名な
ザムザそっくりの
でもちっとも似てない
水玉いろのザムザが
降りてきたのだ
そうしてどうした? と
なぜだかわたしを心配してくれ
どこに行くんつもりだ? と
まるで自分がわたしであるかのように
長い触覚をゆらゆらさせるのだ
ウッとなったが
反してちっとも汚らしくはなく
それどころか
きのうから止まらないでいる下痢を
青くてながい触角でシュンシュンと
おなかの上から撫でてくるので
こそばゆくってたまらず
わたしは子供のようにケラケラ笑ったのだ
ところが水玉いろのザムザは
次第にちいさく
ちいさくなっていくのだった
しまいに
すばしっこく
走り回りだしたので
急にやってきたわたしの母親に
スリッパで叩き潰されてしまったのだった
ここまでが
すべて訳もわからず
すべてが混沌として
おもわずわたしは
眼鏡を掛け直したのだったが
その眼鏡のレンズにこびりついた
青くて固い飛沫の残像が
薄気味悪く
目の中でクネクネクネと
無念そうにしてうごめきだしたので
わたしは
どうやって悲しんでいいのか
いや確かに悲しいのだけれども
まるで言い訳を指摘された
子供みたいで
どうしていいのかと
そのザムザを探して
ついにわたしも
思いっきり
走り出したのだ