MENU
1,782,664

スレッドNo.6807

雪解けの栞  ゆづは

遠くで鳴る呼び声は
風のいたずらでしょうか

あの日 
あなたが閉じたままの
扉の向こうで
銀色の針葉樹が
静かに影を伸ばしています

重い外套を脱ぎ捨てられないのは
その裏地に残る 
消えない温もりを
閉じ込めているから

水平線が朱に染まる瞬間
あなたは誰の面影を
なぞっているのでしょう

空に浮かんで滲むのは
見知らぬ誰か
それとも 遠い記憶の底の誰か

真実の想いは
雪の底に沈めた

そう言って
静かに笑うあなたの横顔は
凍てつく月のように

私はただ一篇の詩を栞として
心の襞に挟んでゆきます

いつか 雪解けの水に流れればいい

ただ 明日の朝
あなたが新しい靴紐を結ぶ
その乾いた音だけを
私は信じていたいのです

編集・削除(未編集)

ロケットBBS

Page Top