抱きしめる 秋冬
だから、だから
と泣きじゃくる
だから、の先が
分からないから
わたしは
だから、の先を
じっと待つ
でもね、でもね
と泣きじゃくる
だから、の先は
分からないまま
でもね、に変わり
わたしは
小さな体を
抱きしめ
髪を撫でる
上手く
説明することは
大事だけど
上手く
説明できないことは
恥ずかしいことではない
娘は
わたしの幼い頃に
そっくりだ
わたしも
泣きじゃくって
母に抱きしめてもらった
言葉で
上手く伝えられなくて
悲しくなったのだろう
わたしが
そうだったから
泣いた理由なんて
なに一つ覚えていないのに
母に抱きしめられたことは
今でも覚えている
わたしは
若い頃の母に
そっくりだ
泣きじゃくりが
ゆっくりと
退いていく
わたしも娘も
母に
抱きしめて欲しかった
だけなのかもしれない