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スレッドNo.6866

芯の重さ  荒木章太郎

あの赤信号も
誰かの演出なのか
俺の車はエンストして
海の前で立ち竦む
これは俺の物語だ
みんな創作に夢中で
生身のやり取りが遠のいていた
感情を表現の道具にしていた
やがて道具は兵器へと変わる
本当は世界の物語を
作らなくてはならないのに
面倒になってきているのだ

夜に脅されていた
優しさが朝の水平線に
ひれ伏していた
ひたひたと忍び寄る死と
コトコトと煮込まれる生の
音すらも聞き分けられないとは
なんて残酷な無邪気さだろう

朝と夜の狭間で
挟まって収まっていた
俺の理想と現実は
かつてはぶつかり合ったはずだ

光と影
思考と体
美と醜
意味と無意味

かつては生きるために
命がけで遊んでいたではないか
俺の頭蓋の裏側を
猥雑な言葉で塗りたくってみた
俺自体が詩になればいい

生で振下ろした言葉は
ネット警察の検閲を受けた
投稿ボタンを押しても
俺の詩は文脈を無視されて
はじき返された
物語は受け入れられずに
沈黙を続ける画面

ああーー言葉が重いのか
重すぎる道具を振り下ろしていた
直接ぶつけることをやめた
語れない場所で
思い重いの言葉を
削って削って芯を残せば
剥き出しの言葉より強度が上がり
それはもう振り下ろす
必要がなかった

言葉が重いのではない
俺が軽かっただけだ
検閲を乗り越え投稿できた
画面は静かだった
深さだけが残った

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