ぽちゃり 人と庸
ぽちゃり
頭上から落ちてくる
ぽちゃり
今度は肩をかすめる
ぽちゃり
これに当たったらたいへんだ
今年もタービンはひっきりなしに回り続け
蒸気は絶え間なく噴き出していた
ここは仕事を終えたあとに辿りつく場所
天井を見上げると
エネルギーの残骸がいちめんに生っていて
熟れたものからひとつふたつと落ちてくる
ぽちゃり
ぽちゃり……
重箱にようよう詰め込んだ
昔からの週間や幼いころに見た光景
こうあるべきという
脅迫めいた美徳など
それらは染み入るほどに慣れ親しんだ味だけれど
いまは少々食傷気味だ
でもよくよく見ると
いるのだ
重箱の中をところ狭しと立ち回る
母や祖母やおばたちが
彼女らはせわしなく満たしていく
空の器をにこやかに
だから同じように詰め込んでしまうのだ
ほんのわずかな記憶のすき間に
飽き飽きした味つけの自分をも
ぽちゃり
ぽちゃり……
気づけば十二時を過ぎている
だれかが訪ねてきた気配はない なのに
これで新しくなったと
みんな口々 祝いの言葉を述べている
ぽちゃり
ぽちゃり……
新しいものも古くなる
ぽちゃり
あつい蒸気がつめたくなるように
ぽちゃり……
それでも満たそうとするのだろう
次の器が
口を開けて待っている──
ぽっ……………………つめたっ!!