春雨 小林大鬼
雨脚が心配なので
長靴を履き傘を差す
車も人も慌ただしく
目の前を通り過ぎてゆく
雉達も濡れながら
足早に駆け出してゆく
前は野鳥の楽園だった
草生い茂る湿原は今
人が入り整地されてからは
泥だらけの荒地に変わり
鳥の声すら聞こえない
バス停に近づくにつれ
雨がさらに強くなる
朝のバスも混み合って
私は前の方から乗る
泣き止まないバスの車窓
ワイパーが涙を何度も拭っても
フロントガラスをまた濡らす
久々の恵みの雨は
筑波の街を白く曇らせ
人々の心も顔も白く濁らせ
バスはただ春雨の中を
疲れたように走り続ける