わたしが好きになったのは 上原有栖
わたしが好きになったのは
太陽みたいな人だった
あなたと話すと
雨模様の荒んだ気持ちが
さっと晴れ渡っていく
「僕は雨男なのだけど」
笑いながら軽口をたたく
少し掠れた声が
耳に残って心地よい
「僕は雨の日が好きなのだけど」
しとしと降る雨の日が
読書をするのに
丁度いいのだという
あなたはわたしの知らないことを
たくさん知ってる
ある晴れた日に
わたしは想いを告げた
恥ずかしくて
心臓が飛び出しそうだった
うわずって途切れ途切れの告白を
あなたは
ちゃんと最後まで聞いてくれた
「あのひこうき雲が長く残ったら
わたしとお付き合いしてください」
苦し紛れに伝えた精一杯の言ノ葉
あなたは
やさしく微笑んで
肩に提げた鞄から
折りたたみ傘を取り出した
「じゃあ 帰りは相合傘で帰ろうよ」
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(解説)
観天望気としての定説から。
飛行機雲が長く残る=上空の湿度が高く、低気圧や前線が接近中
→ 雨が近づいている・天気が崩れるサイン。
昔からの言い伝え「飛行機雲が長く残ると雨」「広がると天気が崩れる」として。