亡命 静間安夫
もはや
引き止めることはできまい
きみはすでに
人知れぬ最果てのきわみへ
旅立ったのだから
懐疑にあふれた
こちらの世界をあとにして
隠者の語る伝説のふところへ
旅立ったのだから
清浄なことばを話し
流刑の神々を信じる
異教の人々の王国へ
乾坤一擲
身を投じたのだから
そこは
必然が偶然に勝利した
約束の地
たった一羽の雀さえ
摂理なくして
落ちることはなく
それゆえ人々は
放埓な運命の戯れを
決して恐れない
きみはその地で
「見ずに信じる者」となり
やがて
聖なる愚者として
王国の民に受け入れられる
たとえその引き換えに
二度と再び
われらのもとへ戻ることが
叶わなくとも…
それこそがきみの望みなのだから