ら・ラ・LA・SAKURA 松本福広
ららら ららら ららら
スキャットの歌声だ。
光源はスポットライトのみ。
薄闇に愛を語るように静かに溶ける ら
薄明かりの舞台に灯され弾ける ラ を待つ。
母音である あ の口の開き
アルファベットの A
意味を持つ前の音
最初の解放は、ここからだ──
弾く音を加えることで
拍動が生まれる。
その拍動と解放が
言葉になる前の原形に
軽やかな風の音を与える。
ラララ ラララ ラララ
言葉にならないもの
言葉にならなかったものは
ラ となって空中を踊る。
ラ 440ヘルツが世界中に始まりの合図を鳴らす。
世界の声が揃う瞬間は ラ で繋がる。
ラララ ラララ ラララ
ららら ららら
コーラス隊が震わせる ら に
どのような音を与えるか
未完成の楽譜を見る。
魂の奥側のような調べから
それに相応しい記号を足す。
白い譜面に次の季節を奏でるように
新しい季節に
ら の色が刻まれる。
コーラスで ら が咲く。
春風の旋律 ラ が吹く。
四季が産声をあげて、透明な桜が立ち上がる。
会場に満開の ラ
ら の花びらが
音色の風に乗って、舞い降る。
音符が次々と、歓喜の波紋を起こす。
ららら ラララ ららら ラララ ららら