雨と鞭 荒木章太郎
雨と鞭
人を裁き
物を捌く
乾いた体
心は砂漠
人を疑い
約束を破り
自己を守るために
法を破って裁かれた
なんて砂嵐だ
しなる鞭が
俺の内の無知を打つ
真と現実が
メッキの皮を
剥いでいく
ああ、冷たくて痛い
これが
愛の鞭なのか
人が振るうべきではない
鞭
裁くためではない
救うために向かい合う
(試練の意味を取り違えていた)
砂漠の心に
雨が降る
裸足のかわが決壊し
怒りの涙で
満たされる
無力な自己を
受け入れる
掬い上げられ
回復へと 悲哀を抱く
約束を守る
構造に従う
裁かれないためではない
自分を
救い上げるため
人を信じて
裏切られ
裏切る者の
裏側に触れ
鞭は虚空をさいて
憎しみの肉を打つ
それでも信じて
悲しみを知る
自己を差し出し
失う悲哀
他者の痛みを
受け取る悲哀
贖うように
分かち合う
ああ、熱くて痛い
これが
愛の鞭なのか
砂漠の心に
若葉が芽吹く
人はつながり
喜び分け合う
ここにいたいと
花は咲くのか