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スレッドNo.699

ひとり  江里川 丘砥

ひとり
わたしが
この世に生まれ

ひとり
だれかが
この世から消えた

たましいは
揺れる水面のきらめきのように
南の空高くのぼる太陽のように
ひとりでにかがやく

こころは
北極星のような道標を
シリウスのような白く強い光をもとめて
重たく靄のかかる空気のなかを
ひとりで浮いている

かなしみは深く
ひとりぼっちになっては
柔らかな木漏れ日のやさしさや
雪原にきらめく光のうつくしさなど
忘れてしまいそうになる

ひとりうたをうたうのは
かなしみがこころに溜まるから
やさしい旋律とことばが
かなしみをかきだしてくれるから

ひとり風に吹かれて
丘の上まで歩く
広がる景色に洗われて
風に向かって笑えるまで

ひとり
わたしがいなくなるとき
この世界は変わらなくとも
誰かのこころは痛んでしまうのだろう

ひとり
あなたがいなくなると
わたしの世界はこんなにも変わったのだから

編集・削除(編集済: 2022年09月19日 18:57)

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