STIX 三浦志郎
アメリカ合衆国
テキサス州
ヒューストン
ハイスクール
黒人のクラスメイト
四人でバンドを組んだ
普通 青春ストーリーは
そこで終わるはずだった
ただし 終わらなかった
四人揃って才能を持ち
それを磨き
四人揃って名を世界に伝えた
音楽で
“やっとメシが喰える”どころの騒ぎではなく
美人の伴侶を得て
華麗な邸宅に住み
派手な高級車を乗り回す
かつては揃って
ハイスクールの
普通のクラスメイト
まずは アメリカン・ドリーム
その後は
“四人揃い”と言えど
それぞれに「個」もあるから
付いて 離れて
付かず 離れず
離合集散を繰り返したが
音楽の時代に対して
ひとつのグループ・ブランドをキープした
時は過ぎて
今は元クラスメイト 三人が鬼籍に入る
一人 残されたSTIX
今年八十八歳
今はもう
事績と名声の余韻で生きてゆく
富も地位もいらない
(たまにDRUMを鳴らしたりはするが―)
この歳になると
晴れがましく生きて
遠くまで来た
そんな栄光もある
ただ
仲間への追悼
(みんな逝ってしまった とり残された)
と沈む時もある
よくミュージシャンが亡くなると
「また、天国で一緒にプレイしよう」
などと言ったりするが
そんなキザなことは
STIX 語らない
ただ
死ぬ時
自分の骨の髄まで
クラスメイト三人の記憶を
持って逝きたいと思う
ただ
死ぬ時
DRUMを飾って
送って欲しいと思う
自分が最盛期に使った
愛器でー
* 鬼籍に入る……死者の名簿に入る。死を意味する言葉。
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ここからも自己趣味的で申し訳ないんですが―。
少し以前、LUNA SEAというロックバンドのドラマー、真矢氏が亡くなられ、比較的、追悼の話題となりました。彼はバンドメンバーで最初に亡くなってしまいましたが、私がこの詩で綴った人物は最後まで残ったメンバー・ドラマーです。対極にある二人ですが、共通するのは、同じ日本のドラムメーカーの専属ミュージシャン兼アドバイザーであった点です。世界トップブランドのひとつです。このドラムメーカーは真矢氏の死に対して、最大限の礼を尽くしました。まだ先のことでしょうが、この詩の主人公の時にもそうするでしょう。メーカーからミュージシャンシップへの誠実な感謝をするでしょう。ミュージシャンあってこそ、楽器は発展するからです。 「詩も、さも似たり」。