恋衣 月森うさこ
生娘を背に乗せ舟を出す
しきたりの祭ばやしが響き渡る
銘柄貴娘を呑んで踊って笑顔舞う
沢山の村の人から祝福を授けて
誰からも愛される娘へと成長する
誰もが目を奪われる美しさ
誰もが頬を赤め鼻を伸ばす妖艶さ
旅の先々で噂を聞きつけた男どもが群がる
生娘を背に乗せ舟を出す
恋心を隠して涙を堪える
手つかずの森を進むこと数時間
赤い屋根のお家がこちらを見つめる
君を布団に寝かせて想う
君の白い肌に紅い瞳に魅了され
君の黒く長い髪はふわっと揺れて
長旅の疲れを布団に吸い取らせる
生娘捧げて舟を出す
最後の想いを交わすひとときを
旅の締めくくりは常世の世界
初めてを捧げる神の元へと向かう
美しい着物を纏いおしろいを付ける紅艶めく
桜と椿が舞う光の中を揺られながら
ぷかぷか ぷかぷか 舵を切る
進んだ先には神の使いがにやりと笑う
生娘捧げて舟を出す
唄をうたい溢れる涙が止まらない