2026年3月31日から4月2日までのご投稿分の評と感想 夏生
2026年3月31日から4月2日までのご投稿分の感想と評です。
大変お待たせいたしました。
「命の色彩」 ゆづはさん
ゆづはさん、今回もご投稿くださりありがとうございます!
僭越ながら御作「命の色彩」の評を送らせていただきます。
感情ではなく状況、様子を選び抜いた言葉で表現しているように
感じました。だからこそ、深くしみてくる。余白があることで
読み手は想像します。この詩の主人公に思いを寄せることができます。
命の脆さと強さの両方を見事に描いています。
後半の三連から奇跡を感じ、感謝を感じました。
果てしない願いで終わる流れは美しく力強く残りました。
御作佳作をさせていただきます。
「街の隅っこに、よくある喫茶店で」 松本福広さん
松本福広さん、今回もご投稿くださりありがとうございます。
僭越ながら御作「街の隅っこに、よくある喫茶店で」の評を送らせていただきます。
初連から二連目までは情景描写で読み手を喫茶店に誘います。
喫茶店の穏やかな雰囲気に浸ろうとすると、三連目でこの詩の
空気が変わります。
オリジナルブレンドコーヒーから「規格内」「大量生産」と
無機質な言葉が並び、「枠内に収まるように---」からの
四連目で、今の自分自身が立ち上がります。この流れ、見事です。
そして、このまま厳しい状況が描かれるのかと思いきや、
<コーヒーに角砂糖を一つだけ
これが私らしさ。
と、読み手の喫茶店に戻します。次にカウンター脇のマガジンラックに
視線を向けて、一冊の雑誌を手に取る。この流れは映像的に見えました。
<「夫」・「妻」・「子ども」
簡単な記号で構成されて
「家族」で接続されているようだ
一見冷めた見方のようですが、次の連で主人公の家族観が見えます。
<私はいい夫なのだろうか
いい父親なのだろうか
誰かにそう言われたいのか
この問いかけからの
<妻と子どもが帰ってくる前に
夕食や、軽い掃除をしておく。
ここでこちらは、主人公はもう十分いい夫であり、いい父親であることが
わかる。けれでも、先の問いかけから彼の報われなさを感じます。
最後の連、
<大丈夫、誰に何を言われることはない。
家族のために生きて来た人が
憩うことにも罪悪感を感じてしまう。それを自ら許し、解放した瞬間の
言葉だと感じました。
たくさんの人が共感する一篇だと思います。
御作佳作とさせていただきます。
「反面教師」 上原有栖さん
上原有栖さん、今回もご投稿くださりありがとうございます。
僭越ながら御作「反面教師」の評を送らせていただきます。
どじょうを一匹捕まえた作家の言葉や生き様が
作品全体に滲んでいます。
「俺みたいに、なるなよ」この言葉が渇いて響きます。
三から五連目まで、作家に対する主人公の淡々とした視線の中に
切なさが含まれていて、より一層悲壮感を感じます。
この情景描写、とてもよいです。静かに崩れていく感じが伝わります。
「お前は、うなぎになれ」
作家なりのバトンのようにも聞こえるこの言葉を
主人公は
<あなたに言われなくとも
言われなくとも、さ
と、思いの余韻を残しながら、少し斜に構えたような言い方で、
返します。
<柳の下に
二匹目のどじょうは居ない
十八回目の春がやってくるまでもう少し
僕の旅立ちは、近い
この主人公は二匹目を求めなくてもやっていける。うなぎになれる
可能性を秘めている。希望を感じられるラストでした。
最後に一点だけ。連の区切りに***や――――を使用されていますが、
これはない方がすっきり読みやすいのではと思いました。
御作佳作半歩手前とさせていただきます。
「物語」 aristotles200さん
aristotles200さん、今回もご投稿くださりありがとうございます!
僭越ながら御作「物語」の評を送らせていただきます。
壮大な物語がリズムよく展開されています。
人間の儚さを桜にのせて、昔と未来の往復の中に
読み手を引きこみます。
八百万の桜の花びらがこの詩の中に舞い散って見えて
戦いがあろうと、廃墟になろうと桜は咲き散っていく。
残酷で美しい情景が浮かびます。
最後の
<桜の花は
九遠に
宇宙を舞い、漂い続ける
は、いい余韻が残りました。
ただ一点だけ。連分けが少し多いように感じました。
リズムはよいので、あと数行まとめてひとつの連としますと
この詩がより立ち上がって見えるかと思います。
御作佳作一歩手前とさせていただきます。
「カンガルーはファイティングポーズ」 三津山破依さん
三津山破依さん、初めまして!
ご投稿くださりありがとうございます。
初めての方は感想のみとさせていただきます。ご了承ください。
僭越ながら御作「カンガルーはファイティングポーズ」の感想を送らせていただきます。
闘うカンガルーと将棋を指す人間。なぜこの組み合わせなのか、考える間もなく
展開されていく。リズムの良さに引き込まれます。
支離滅裂な展開に見えますが、二連目から怒涛の闘いが繰り広げられ、
同じ時間に別の場所で種類の違う生き物たちが真剣勝負をしている。
この感覚は映像的でとても面白かったです。
終連でカンガルーは決着がついたようですが、人間はまだこれからのようで
その余韻も印象的でした。
ユニークな一篇ですが、シンプルな組み合わせから独特の躍動感を持った
作品でした。
次回のご投稿をお待ちしています。