コーヒー一杯 エイジ
コーヒーの味は哀しい味
なぜか病みつきになる苦い味
生きる辛さを知った時の味
人生の機微に響く味
飲めば飲むほど次第に好きになる
長い年月をかけて
生きる苦労と
人生の機微を味わう時に
ああ エスプレッソの苦さよ愛しい
家から職場へ向かう
途中の駅辺りで
仕事前のワンクッションとして
行きつけの喫茶店がある
座り心地の良い椅子に腰かけて
深煎りのモカなど啜りながら
ぼーっと
今日一日の予定など頭に浮かべる
コクのある挽きたてのモカは最高だな
気が付くともう行く時間だ
急がないと遅れる
後ろ髪を引かれつつ
去ってゆくいつもの喫茶店
「ごちそうさまでしたーっ」
コーヒーの味は哀しい味
苦い味なのになぜか病みつきになる
生きる辛さを知った時の味
人生の機微に響く味
舌先にまだ残るほろ苦さ