25分の1のこんにちは 松本福広
ひとつの、こんにちはを一輪挿しに飾ってみた。
一方通行の花瓶は寂しい。
爛漫に交わし合うことで
美しさが際立つ。
たくさんの、こんにちはを束ねたブーケを
大きくなったつもりの君がトスする。
受け取るのは誰だっていいんだ。
女の子でも、男の子でも。
遠い国にいる彼でも。
孤独にうずくまる彼女でも。
名前を持たない誰かでも。
小さな町で小さな僕たちが
ブーケを空に舞い合わせる夢を見る。
僕たちは
過ごしてきた時間や環境が違うから
何が幸せに感じるのか、その答えも違う。
そんな僕たちはお互いに
玉手箱の煙みたいなものに遮られている。
君の悲しみを全部知ることはできないし
僕の喜びを全部伝えることもできない。
花びらの色から
花全体の色を想像するように
25分の1のカケラでも
君を知りたい。僕を知ってほしい。
まずは僕から君に
おもちゃ箱の花畑から
お気に入りの花を。
お互いを知り合う過程は
一日一日の積み重ねしかないけれど
一日で何ができるだろう。
例えば、花占いならできる。
……友だちになれるかな?
一日でも、僕と君
二つの世界が身近になれる。
僕はここで君を待つ。
たくさんの花々を化粧箱に収めて
君に見てもらう準備をしておく。
君が来てくれたら始めよう。
始まりはいつだって
それぞれの言葉の
「こんにちは。」
【補足】
栃木県日光市にある東武ワールドスクウェアというスポットの詩です。
東武ワールドスクウェアのURL
https://www.tobuws.co.jp/
イメージソング「夢のワールドスクウェア」動画