白日の淵 ゆづは
窓枠に収まっていた空が
年を追うごとに
狭くなってゆく
隣家の屋根がせり出し
かつての月光を
幾何学に切り取る
溢れていたはずの光を
奪われたのではなく
私にとっての余白が
この形をしていただけなのだと
深く頷く
使い古したブランケットを
畳むように
日々の手垢がついた記憶を
一枚ずつ 奥へ仕舞い込む
無音の時間が
足元から満ちてくる
月は変わらぬ眼差しで
閉ざされてゆく窓を
見つめている
過去という薄い皮膜を
爪先で そっと剥がせば
その向こうに
まだ名づけようのない光が
透けて見える
欠けた空を抱きしめたまま
すべてを
白日の淵へと 放してゆく