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スレッドNo.7170

称名寺-青葉の楓-  上原有栖

燦夏に輝ける青葉
金堂前に根を張る樹を見上げた
古き伝説の名木(※1)よ

中世の史跡
金沢北条氏ゆかりの称名寺
在りし日の実時(※2)の額にも
鎌倉の暑さで汗が浮かんでいたやも

境内に響く蝉たちの大合唱
何度 生まれ変わりてか
七日天下にて儚き命を繋ぐため
彼方此方で鳴く 泣く 哭く

楓よ
周りが紅葉に染まる頃
秋になったらまた来よう
お前の瑞々しき青葉を眺めたい
為相(※3)に褒められては
仕方なし哉

この後
実時の墓を拝み
参道を行くこと登山の如し
滴る汗 先は獣道のように草茂り
脇を黒揚羽が通り抜けた
八角堂に至れば昼寝する猫一匹
両者に一礼して
眼下に金沢の町を見下ろしながら
自作の歌を詠んだ

「金沢の北条祀る 称名寺
黒蝶に導かれ山登れば
八角堂にて先客眠る」

***

(解説)
※1)青葉の楓伝説:金沢文庫の境内に生えている楓の木。
周りが紅葉するなか、この樹だけは瑞々しい青葉を繁らせるという。
現在の楓は実は二代目。
謡曲能『六浦』の題材にもなっている。

※2)北条実時:鎌倉時代の人。
日本最古の武家文庫、金沢文庫の創設者。金沢北条氏の祖。

※3)冷泉為相:鎌倉時代の公卿、歌人。
藤原定家の孫。歌道の家元、冷泉家の祖。
当時、称名寺に生えていたどの樹よりも美しく
紅葉していた楓を為相が褒めた事から、それを
誉とした楓が以降は紅葉することを止めたという
逸話から件の「青葉楓の伝説」が生まれた。

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