福を撒く人 夏目兼緒
薄明かりが差す部屋に座っているとき
項垂れて休憩しているとき
うまくいかなかったことを繰り返し後悔しているとき
そっと私の頭の上に
暖かくもなく、冷たくもない掌が乗るときがある
振り返ると
あなたの恵比寿顔
あぁ
話せなくてもあなたほど心を読める人を私は知らない
あなたがフワリと掌で撫でると
こめかみから頭の上までを
綿毛のような感覚が抜けていく
もう一度振り返る
ニコニコ恵比寿顔の優しい顔があるだけ
残るのは肌触りの良い毛布のような気持ちだけ
穏やかで
大事にされてきたあなたには
"善"だけが存在するから放っておけなかったんだね
選ぶように
あの人に…
こっちの人に…
あなたは掌を置いていく
みんな優しい毛布に包まれる…
あなたは福を撒く人
優しい福を撒く人
夏目兼緒