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スレッドNo.7249

◎5月12日(火)~ 5月14日(木)ご投稿分、評と感想です。  (青島江里)

お待たせしました。

5月12日(火)~ 5月14日(木)ご投稿分、評と感想です。 


☆硝子の正義  松本福広 さん

松本さん、一部修正の件、承知いたしております。ご安心くださいね。

硝子の性質や屈折率をモチーフにして、これまでの人間の在り方や、ご都合主義の社会の一面を上手に浮かび上がらせていると思いました。全体の流れについても、うまくまとめられていると感じました。

またご都合主義の社会を上げるものとして「1人を殺せば犯罪者だが100万人ころす(原文は漢字)と英雄になる──。」という有名人の言葉を用いられたところは、かなり心に衝撃を与え、また、現代社会の、都合のいい部分だけを映したり隠したりするという部分に通ずるものを与え、戦争を近づかせているのではという恐怖を感じさせてくれました。

ことは、この部分からさらに飛躍し、続いてゆく連では、昨今のご都合主義にこのまま飲まれてしまえば、個々の命、失くさなくてもいい命が、たくさんの犠牲になるかもしれないのだよというメッセージを感じさせてくれました。

汚れた硝子があれば割って
新しいものに替えるだけの時代
たった1人も
100万人も
記号にされることで
擦り硝子の向こうに
顔が見えなくなった人たちだ。

こちらの連は、とても納得させられる一連でした。美化された戦争という正義で、たくさん犠牲になっていった人々のことを彷彿させてくれました。この間の硝子のレトリックに関しても、「汚れたら磨くのではなく、割って新しいものに替えるだけ」という表現は、硝子の割れる音で戦火の音を浮かび上がらせてくれますし、雨風を凌げる、日常は丈夫そうに見える硝子も、一瞬の圧力で、次々と、もろく崩れ去ってしまうという、人の命を想像させてくれました。

正義を見つめるということについて、現代の社会の風潮について、人の命の重さについて等、一枚の硝子を通して、自分にとっての真実を見つめること、見極める姿勢の大切さを伝えてくれる作品になっていると感じました。秀作を。



☆あなたが私を見ている  三津山破依 さん

三津山破依さん、はじめましてさんですね。今回は感想のみでいかせていただきますね。

山歩き、仏閣巡りの様子が、しっかりと目に浮かんできました。しっかりと伝えようとしすぎると、説明のような言葉が多くなって、長くなりがちなのですが、読み手にとって程よい長さで、心地よく、登場人物さんと同じように散策している気持ちになって拝読することができました。

一連目と三連目に登場する「一礼」という言葉、いいですね。なんというか、礼を重んじるという清らかな姿勢と、崇高な山上の清い空気が重なりあうような感じもしますし、作品の流れ的にも、よいアクセントになっていると思いました。

「私はあなたを見つめる。/否、あなたが私を見ている。」も、よかったです。リスペクトする心が自然に伝わってきました。最終連の「太陽」の登場もよかったですね。良い光に照らされているという幸福感も出ていましたし、神様や自然の大きさを表せているように思いました。読後感がとても心地よい作品でした。



☆あの頃の  じじいじじい さん

今まで、こちらにご投稿いただいた作品は、児童向け風の作品が多かったですが、今回は大人チックな作品になっていますね。見た目のスタイルは違うのだけれど、心の芯という点に光をあてると、何とも言えない子供のように純粋な、清らかな、小さな原石を感じさせてくれる心がありました。

認知症で何も分からなくなってしまった「母」が子供の頃の手紙を残してくれていたことだけでも、心がほのかにあたたかくさせられるのに、この手紙を通じて、感動する「私」も、読み手に、更なるあたたかさを感じさせてくれました。

そして、「ママ、だいすき」という言葉が、「母」の若き頃の記憶を呼び覚まし、「私」と「母」が過去の世界でひとつになれたという表現の流れも一肌の温もりという、心のやわらかみを感じさせてくれました。また、言葉のもたらす大きな力も感じさせてくれました。たった今の現実を問われると、二人の立ち位置は嘘になってしまいますが、言葉のもたらしてくれた優しい嘘が、心の結びつきという赤いリボンをもたらしてくれたのですね。どんな高い品物よりも嬉しいプレゼントになったと、自然に思えました。

親子のあたたかい絆を感じさせてくれた作品でした。佳作を。



☆夜道を歩けば煙に巻かれる  佐々木 礫 さん

静かな夜の散歩と、タバコの煙と記憶、若さと老いのはざまに関することが、自然体に配分されていて、そして全体像として、一つの雰囲気をうまく作り上げていると思いました。

もう日はとおく彼方へ沈み、
飲み歩く人も少なく、
憂いた空気の人が往く。

こちらの三行からは、都会の夜の寂しさや、人々の疲れた様子が伝わってきました。そのような空気感の中、煙草を吸うという所作を伴うことにより、また一つ違うパーツの空気感を生み出しているように感じました。目に見えない空気と目に見えるけれど薄い煙。そのようなモチーフを用いることで、おぼろげな記憶や、手で触れたいけれど、手にできない過去を、言葉にできそうでできないもの、或いは執着しそうだけど、そうでもなかったものなどを、一つのニュアンスとしての感覚で伝えることに成功していると思いました。

しんとした夜道という背景の中、「私」は何を呟くこともなく、思うことを代弁するかのように、煙草の煙を、心が流れるたびに、浮かんだり、消えたりさせてゆく表現は独特で、なかなか味のある表現になっているように思いました。かなり完成度の高い作品になっていると思いますが、文語的な倒置や、長い一文が多いところについては、味わい深さがある分、読み手によってはリズムをつかみにくいと思うことがある可能性もありそうです。

例えば、「その薄煙に投影せんと、私は記憶の倉庫を漁り、」ですが、少し説明的な感じもするので「その薄煙に何かを映そうとして」のようにしてみたり、「老いとは遠いところにいて、なお青々としてはいない。」では「老いはまだ遠くて。けれど、もう青くはなく」のようにし、砕けた言い回しにしたり、言い回しを少し削ってみるなどして、リズムを整えると、さらにテンポのよい、より伝えやすい作品になると感じました。

背景は夜で、特にセリフもない中、煙と気配だけで一つの世界を作り上げ、読み手に感情を伝えるという表現はとても印象深かったです。今回は佳作一歩手前で。



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五月の途中からもう、蒸し暑く、すでに、家の中でも半そでで過ごす日も増えています。「合服」っていう響きとか、そのものも結構好きなんだけどなぁ。着る機会が年々減ってきていますね。ここ数年のお天気事情、どうなっているんだか。寒暖差にお気を付けて。どうぞご自愛ください。

みなさま、今日も一日、おつかれさまです。

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