5/19~5/21のご投稿分の評です。 滝本政博
代替品 ゆづはさん 5月20日
佳作とします。
短い作品ですが、無駄無く選び抜かれた言葉が、あるべきところにぴたりと置かれ、気持ちがいいです。
ネットショッピングという新しい(珍しい)テーマをもとに自分の内面が描かれていて感心しました。
<私を置き去りにした指先が
青白い液晶の上を
ひたすら滑り続けている>
ここ、いいですね。なかなかこのようには書けないとおもいます。
タイトルの「代替品」を辞書で引くと
代替品(だいたいひん)とは、本来使う予定だった商品や素材が手に入らない時や、コスト削減・リスク対策のために、同じ目的で代わりに使える別のものを指します。
となっていました。
とすると、最終連の
<暗い画面の向こうで
私によく似た影が
カートに入れられて
決済されていく>
も深い意味を帯びてきます。
ここも、詩句としてよく表現できていますが、
「私」は自己にぴったりした現実感が持てずにアイデンティティの危機にひんしているのかもしれません。
君はどこかへ 三津山破依さん 5月19日
理屈ではなく全体でつかみとるタイプの作品かと思い何度も読みましたが、私には理解が難しかったです。
詩句の中では
<君の微笑みは、僕を少し、
強くする。>
<君の微笑みは、僕を多分、
いらつかせる。>
が、深くて、いろいろと考えさせられました。
一連目は人称の問題があると思うのです。
<空は赤いというのに
笑っている。
君の微笑みは、僕を少し、
強くする。>
笑っているのは空なのか、君なのか?
続けて読んでゆくと、
<熱い季節だというのに、
笑っている。
君の微笑みは、僕を多分、
いらつかせる。>
とあるので、笑っているのは君だと分かるのですが……
初見では分りにくかったです。
あと少し違和感(矛盾)を感じたのは
6連で
<ずっと海を見ていたよ。
波は荒く、突き刺した。>
とあり、これは“僕”のことを言っているとおもうのですが
次の最終章では
<僕は部屋の中。
電波も届かない。>
となっています。
こんなことをしてよいのかわかりませんが、連の順番を変えたもの以下にのせます、あくまで参考程度に読んでみてください。
空は赤いというのに
君の微笑みは、僕を少し強くする。
熱い季節だというのに、
君の微笑みは、僕を多分いらつかせる。
ずっと海を見ていたよ。
波は荒く、僕を突き刺した。
今日の夕飯は鯵の塩焼き。
大根おろしもない。
小骨を口から吐き出す。
何度もページを繰った。
答えは見つからない。
あした、君は旅に出る。
空は明るいというのに、
僕は部屋の中。
電波も届かない。
RPG 松本福広さん 5月19日
ロールプレイングゲームを一度もしたことがないので、なにか問題がある(頓珍漢)な発言があればお許しください。
バーチャルな世界を言語化する手際、またそれだけでなくゲームの世界とゲームする人の二重写しのような表現が面白いです。
ロールプレイングゲームをしながらゲームについての考察を書いているようで、その進め方が面白かったです。
<ゲームシステムの彼らは
勇者・仲間・魔王として置かれて
物語が始まる。>
いろいろなた立場からの、立ち位置からの声があがる。
<ここにないはずの声がうるさい。
その仕事を選んだのは、あなたでしょう?
そういう仕事だって知っていたんでしょう?
人に叩きつける言葉としては気持ちいい。
正しい側に立つ無自覚な誰かが
私に突きつける
人差し指はまっすぐ伸びる。>
頭の中の声も描かれる。
一連目
<ロールプレイングゲームが昔から好きだった。>
以下ではじまり。
<暗転。>
この<暗転。>が凄くよかった。舞台が一度暗くなり、さあこれから始めるぞとゆう感じがでていました。
最終連
<GAME OVERの画面の後は
タイトルロゴに戻る。
上司から休暇を言い渡され
予定がない連休を過ごす。>
最後の二行は怖いね。いっきに現実に引き戻される効果がありました。
ゲームをしたことがないので、もうひとつ深く読み込めないようです。
申し訳ない。
佳作とします。
あと、渡辺玄英という詩人がいますが、参考になるかもしれません。こんな詩を書く人です。
火曜日になったら
戦争に行く
野ウサギがはねる荒野の中を
画面の野ウサギにカーソルをあわせたら
引き金を、ひいてくらさい
ピコピコと動くのは、夢の中だけです
きょうがいつだか わからないけど
(僕の弾丸は届くだろうか?
(ぼくのことばが届かないように?
(わかりませんわかりません
とりがあ(引き金)をひくときは
ヤギの乳をしぼるように、と
ウサギの首を絞めるように、と
マニュアルには書かれています
(教えてください
ロケットパンチは、どのボタンですか?
イナズマキックは、どのボタンですか?
きみに大切なことを伝えます
(以下長いので略)