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スレッドNo.7266

猫叉  上原有栖

夢のなかで
昔飼っていた猫が話しかけてきた

近くの神社でお参りするとき
最後のお辞儀で
おいでくださいと願い込めながら
首を右側へ
ぐいっと曲げて
そのまま
じぶんの後ろを覗くと
視線の先
ちょんと座った白い猫が
朱の鳥居の向こう側に見えるのだと

あさでも くれでも
はれでも あめでも
願いが通じれば見えるはず
やさしい声は続ける

白猫が現れるのは しるし
いいこと わるいこと
何かが起こるよ
懐かしい声はささやく

なみだが零れて
目を開けた
みゃあ
耳の奥に残っているのは
甘えたいときに鳴らす じゃれた声色

うまくやっているのだな
今度 お参りにいこう
願いは 再びおまえに逢うこと

老いた額にまだ
墨点(すみべに)を垂らしたような
模様は残っているかしら

歳を経た猫は
猫叉になると 言い伝えられている
みゃあ みゃあ
耳の奥に懐かしい声が
こだましている

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